イノベーションへのインサイトを与えてくれるキュビズム
国立西洋美術館で開催されている「キュビスム展―美の革命」に行きました。パリのポンピドゥーセンターからの見ごたえのある作品が展示されています。
良く知られる通り、キュビズムとは、20世紀初頭にパブロ・ピカソやジョルジュ・ブラックなどによって始まった美術運動で、対象を幾何学的な形状に分解し、それを複数の視点から同時に描くという特徴を持っています。写実や模倣といった従来の美術の主流から大きく逸脱した新しい潮流です。
作品を鑑賞してキュビズムがビジネスパーソンに大きなインサイトの機会を与えてくれると感じました。
第一に、これまで当たり前であった美術の原則を、「ちゃぶ台返し」のようにぶち壊したことです。
視覚的に見えることを写実的に描くという原則を守らない絵画は、当時の人々がのけぞるほどの衝撃であったことでしょう。
ビジネスにおいても、「ちゃぶ台返し」のような現状否定が必要と思います。ビジネス上の提案が「ちゃぶ台返しにあたるか」「聞いた相手がのけぞるほどか」と問いかけると良いと思います。
第二に、多面的に見ることの重要性です。
キュビズムは、対象を多面的に見て、平面に描き出します。
ビジネスにおいても、複数の視点から情報を収集し、問題を理解し解決策を模索することが重要です。ビジネスリーダーは一つの視点にこだわらず、多面的な視点を持つことで、より包括的な戦略や意思決定に繋がっていくでしょう。
第三に、分解して再構築することです。
キュビズムでは対象が分解された形で再構築されます。コラージュなどの手法も頻繁に用いられのです。
ビジネスにおいても異なる情報源からのデータを収集し、異なるデータや情報を統合して全体を理解し、新たなものを発見することの重要性を示唆しています。
キュビズムを美術史の流れで理解することで、イノベーションのインサイトが得られると思います。
※写真はキュビスムのアート(Unsplashから)
更新の通知を受け取りましょう
投稿したコメント