800年前にダイバーシティ&インクルージョンを推進した神聖ローマ皇帝

2023年10月23日
全体に公開

塩野七生著「フリードリヒ2世の生涯」を読みました。

フリードリヒ2世は、13世紀の神聖ローマ帝国の皇帝です(同名のプロイセン王(18世紀)がいるのでご注意ください)。多文化が交錯するシチリアで生まれ、十字軍の時代にイスラムとの融和路線を進めた先見性のある皇帝でした。

現在ではイタリアに属するシチリアは、歴史的に、古代ギリシャやローマに加え、アラブやノルマン人の支配を受けてきました。アラブ人は異教徒イスラム教徒であり、今でもシチリアにはイスラム教文化の影響は残る。また、海賊的な行為もしてきたノルマン人は海を経由して様々な文化をシチリアにもたらしました。

シチリアは、中世を代表する多文化共生の雰囲気のある地域だったのです。

この多文化共生の風土がフリードリヒ2世の人格形成に影響を与えたことは想像に難くありません。

当時の聖職者にとっては、異教徒(イスラム教徒)との交渉すら誤った行為であった。フリードリヒは、異教徒尊重と共生の思いすら持っていたのです。部下にもイスラム教徒がいました。

らい病患者への手当や、アリストテレス哲学などを学ぶナポリ大学の設立にも尽くしました。

21世紀のダイバーシティ&インクルージョンを800年も先取りした皇帝から学ぶことは多くあります。

※写真は、シチリアにあるパレルモ大聖堂(Unsplashより)

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