逆境で結果を出す人の「セルフコントロール術」+NewSchool開講のお知らせ

2024年3月18日
全体に公開

いつもトピックスをお読みいただきありがとうございます。

このトピックスでは、リーダーシップやキャリアについて解説をしていますが、今回その集大成として、NewsPicksのNewSchoolでリーダー育成プログラムを開講することになりました。

「結果を出すチーム」をつくる、実践型リーダーシップ理論

多様な部下を育て、組織として動かすためにもっとも重要な3つのスキル

・人を育て・動かすスキル

・意思決定スキル

・コミュニケーションスキル

を理論と実践によって3日間で集中的に学んでいただきます。

グローバル企業、日本企業で多くのリーダーを育ててきたノウハウをすべてお伝えしていきます。また参加者の皆さんお一人おひとりに直接、リーダーとしての強みや課題をフィードバックできるのは最初で最後の機会かなと思いますので、このトピックスの読者の皆さんにはぜひお会いできると嬉しいです。皆様のご参加をお待ちしております!

さて今回は、優秀な人が実践している、逆境に強くなるマインドコントロール術について解説します。年度末が近づき、来期から組織や職場が変わることで不安な気持ちになる人が増える季節です。新たな人間関係や仕事に直面するときにネガティブな気持ちになるのは自然なことだと思います。ただ、いつまでもネガティブなままだと、状況が変わらず、どんどん苦しくなってしまいます。

私は人事としてさまざまな社員を見てきましたが、いつも恵まれた環境の社員は存在しません。必ず良い時、悪い時があります。優秀な人材こそ厳しい環境や、予想できない困難に見舞われていることも多くあります。

しかし優秀な人は、いつまでもネガティブな気持ちのままではいません。自身のマインドをうまくコントロールすることによって、少しずつ、精神的な圧力から逃れ、ポジティブにものごとを捉えていく方法を知っています。それによって周囲からの協力を得やすくしたり、難しい環境でも結果が出やすい状態を常につくったりしています。

今回は、優秀な社員が実践している「逆境において自分の精神状態をコントロールする方法」を解説します。もし逆境を迎えた場合でも、しっかり乗り切る準備をしておくためにぜひ最後までお読みください。

◇試練は誰にでも訪れる

仕事をしていると、予想もしていなかったネガティブな出来事は日常的に起きます。

受注確実と思っていた商談を競合企業に奪われる、自分が信頼していた上司が退職する、希望していない異動や転勤を告げられる、理不尽に思える理由で評価が下がってしまう。誰にでもこういった変化は訪れます。

私自身、上述したようなことをすべて経験してきました。たとえばSAPに転職した際、私を採用してくれた上司は、私の入社初日に異動してしまい、私は初日からまったく白紙の状態で業務をスタートせねばならず、途方に暮れたこともあります。

こういった「試練」は誰にでも起きうることですが、いつまでも悲観しているだけでは誰も助けてはくれません。グローバル企業では、こういったネガティブな変化に対しての対処法を理論的に教えます。

◇セルフコントロールの方法①「キューブラ―・ロスの5段階モデル」を活用する

一般にネガティブな変化に対して、人が自然に見せる反応を「悲嘆の5段階」いいます。アメリカの精神科医エリザベス・キューブラー・ロスが提唱したモデルで、もともと末期患者が自分の死に対してどのように向き合うかを示したものでしたが、ネガティブな事象に対する反応を段階的に示すことから、ビジネスにおいても応用することができます。

変化には、不安や恐怖、抵抗や拒否などのネガティブな感情や反応が伴います。しかし、この5段階のプロセスを知っていることで、自分の状態を冷静に理解し、次の状態に早く移行するためのコツを知ることができるため、ネガティブな精神状態から高速で抜け出せるのです。

5段階のプロセスは、以下のとおりです。

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①否定(Denial)

変化を受け入れられず、現実を否定する段階です。たとえば、「そんなことはありえない」「私には関係ない」などと言って、変化を無視しようとします。

この段階では、変化の事実や必要性を認識し、変化に対する理解や納得を深めます。また、変化に対する不安や恐怖を他人に吐き出し、感情を整理します。初期の段階で周囲に愚痴をこぼすのも悪いことではありません。

②怒り(Anger)

変化を受け入れられないまま、変化の原因や責任者に対して怒りをぶつける段階です。たとえば、「なぜ私なのか」「誰がこんなことをしたのか」などと言って、変化に対する不満や不平を表します。

この段階では、「誰にも変化を止める力はないこと」を認識し、「変化は自分で選んだことの結果に過ぎない」と考えます。その環境を選んだのも結局は自分であり、その当時の選択としては仕方ないことだったと考えるのです。

③交渉(Bargaining)

変化を受け入れることを避けようとして、変化を回避するための取引や妥協をしようとする段階です。たとえば、「もう少し待ってくれないか」「変わらなくてもいいことはないか」などと言って、変化に対する期待や要求を下げようとします。

この段階では、変化を回避する選択肢が現実的かどうかの判断をできる限り早く行います。この判断が早ければ早いほど、新たな環境でのリソースやサポートを早く得ることができて、有利な立場になることを知っておきます。

④抑うつ(Depression)

変化を受け入れることができないことに気づき、変化に対する無力感や絶望感に陥る段階です。たとえば、「どうせ変われない」「もう何もできない」などと言って、変化に対する関心や意欲を失います。

この段階では、変化に対する無力感や不安を抑え、小さなことでいいので、新たな環境における目標や成果を定め、変化に対応するポジティブな面を見出します。または自分よりも難しい立場の人や、新たな環境に適応できないままの人との比較をすることによって自分の環境の良い面を認識することも有効です。

⑤受容(Acceptance)

変化を受け入れることができるようになり、変化に対応するための行動や計画を立てる段階です。たとえば、「これが現実なのだ」「どうすればいいのだろう」などと言って、変化に対する前向きな姿勢を示します。

この段階では、変化を受け入れることができるようになり、変化に対応するためのスキルや知識を習得することに集中します。それによって新たな環境における貢献を実感し、結果が出るようになってきます。

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このように、変化に対する自分の精神状態の段階を把握し、やるべきことを知っておくことで、ショックの大きい変化に対しても、非常に早く乗り越え、対処ができるようになっていきます。

◇セルフコントロールの方法②「流れの悪い状況で勝負しない」

新たな環境や変化にさらされたときに活用できる対処法がもう一つあります。それは、「流れが悪い状況で勝負しない」こと。どんなに頑張っても評価されない、認められない、といった状況もあります。私もそういう状況を何度か経験してきました。

そんなときに、「勝ちたい」「結果を出したい」と頑張っても、なかなか状況は好転しないものです。むしろ多くの場合、あがけばあがくほど苦しい状況になっていくものです。

こういう場合に大事なのは、「今は流れが悪い」ということをはっきり認識すること。流れが悪いときにいくら勝負してもいい結果は得られません。その現実に抗わないことです。さきほどのキューブラ―・ロスの5段階モデルでいえば、⑤の受容段階での対処として、「頑張らない」という選択肢を持つということです。

「職場の人間関係が悪くすぐに足を引っ張られる」「新しくやってきた上司との相性が最悪」ということもあると思います。そうした状況では、「評価されよう」「好かれよう」としてもなかなかうまくいきません。もちろん、自分の勘違いということもありますが、「どれだけ歩み寄ってもまったく理解されない」ということもあります。

そんなときは、「今は勝負するときではない」と割り切りましょう。周囲の評価は気にせず、淡々と目立たないように、自分の能力を伸ばすことや、日々の仕事に集中しましょう。そこで力を注ぐところではありません。大人しくしていることが、かえってよい流れをつくっていきます。

ムダな労力を消費せず、静かに自分の能力を高め、次の来るべきときに備えることに力を注ぐ。「気にしない」という鈍感力も、優秀な人が必ず備える大切なセルフコントロールなのです。

新年度になって、うまくいかないと感じるときも、その状況が永遠に続くことはありません。ネガティブになりすぎないように、うまく自分のセルフコントロールを実践してみてください!

Top画像@Linustock

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