吉本興業は第二のジャニーズになってしまうのか?

2024年1月11日
全体に公開

(タイトル写真:Getty Images)

松本人志氏の性接待疑惑の件で、吉本興業自体についても、ジャニーズのようにそもそも社会的に問題のある行動をとっている芸人を擁護するようなコンプラ体制の会社である吉本のタレントは起用すべきでないという動きが広がるのかどうか?と思ってみてます。

合意があったかどうかを焦点にしているようですが、そもそも後輩芸人に福岡や東京で芸能界にあこがれを抱く若い女性をナンパさせ、ホテルのスイートルームに連れてきて、合意があったとしてもそのような行動を常習的に行っているというのは、女性差別、権力・権威を振りかざして弱者を食い物にしているという構図のように見えるのは確かです。そのような行動を常習的にとっているとしても、それの何が問題なんだとタレント本人も主張し、また吉本も何ら問題が無いと主張しているのは異常な状態に見えます。

法的に明らかに真っ黒な行動だけでなく、グレーな行動についてもできるだけ避けるようにするのがコンプライアンスの精神であり、セクハラ・パワハラの懸念があれば、会社としてはリスクを極力軽減するべく行動するのが求められる姿です。これまでの言動を見ている限り、吉本はジャニーズ事務所と同じく人権問題に対して無頓着なコンプラ体制の弱い会社と言わざるを得ません。個人の言動としては、違法なことでなければ責められる筋合いはないと主張するのは勝手ですが、会社としては明らかに違法なことさえ避けていればいいということにはなりません。ましてや上場会社には社会の公器としてより高い遵法精神が求められます。

ESG要素を重視した経営をすべきというグローバルなトレンドの中では、上場会社は取引先に対して人権問題のリスクが無いかを精査することが求められています。人権問題リスクのある会社とは取引を行わないというのが上場会社に求められる行動ということになります。実際、上場会社を中心にスポンサー離れが始まっているようです。

松本人志さん出演特番でのスポンサー表示自粛 サントリーやアコムも
2024年1月10日

日本の報道機関の今回の件に関する報道姿勢はグローバルスタンダードから随分ずれているなと感じます。吉本が2019年にMBO(経営陣を中心として非上場化)した際にテレビ局各社が株主で入っています。吉本のタレントが起用されず、吉本の業績が悪化すると株主としてテレビ局の利益も損なわれます。ですので、テレビ局は吉本に関しては利益相反問題も抱えているわけですが、こうしたことも報道姿勢に影響が出ているのではないかと危惧されます。

このような人権問題リスクのある吉本及び同社所属タレントと契約をしている上場会社経営陣については、次の株主総会で取締役再任について株主から反対されたり、取引先の人権問題に関する対応方針を強化せよといった株主提案が出されたりといった事例が出てきても不思議ではないだろうと思います。

応援ありがとうございます!
いいねして著者を応援してみませんか



このトピックスについて
津覇 ゆういさん、他1604人がフォローしています