大学・高専における「実務家教員」の役割と雇用について

2023年9月18日
全体に公開

大学・高専において、実務家教員の存在は、重要な位置づけとなりつつあります。

実務家教員は業界での実際の経験を持っているため、理論だけでなく実践的な知識も学生に提供できるため、学生は単に教科書の内容を学ぶだけでなく、現場で即戦力となるスキルと知識を習得するといったメリットなどがあげられています。

経済産業省は2023年9月15日、「第3回 デジタル人材育成推進協議会」を開催し、この中で、「産学連携によるデジタル人材育成について(実務家教員の確保・活用等)」という内容で資料を公開しています。

実務家教員の確保・活用について(基金事業の事例)

実務家教員の確保・活用についてですが、大学・高専機能強化支援事業(成長分野をけん引する大学・高専の機能強化に向けた基金)において、「計画の対象となる研究科・専攻等において、実務経験のある教員等による授業科目を配置する計画」を申請要件としています。

高度情報専門人材の確保に向けた機能強化の取組においては、急激なデジタル社会への変化に対応する実践的な教育を実施するため、実務経験のある教員等の確保・活用などが具体的に計画されています。

大学・高専における実務家教員の取組のポイントについて

各大学・高専によって、実務家教員の確保・活用の計画では、デジタルに関する社会実装関連科目や課題解決型のPBL科目などの演習・実習科目において実務経験のある教員を活用することで、より実践的な教育を実施するという計画が多く見られているとしています。

雇用形態としては、教育研究に従事する常勤教員(任期付特任教員含む)、授業科目を担当する非常勤講師、授業科目の一部を担当する非常勤講師(オムニバス形式)などが挙げられるとしています。

また、確保方策としては、JREC-INを活用した求人公募、共同研究など連携企業からの在籍出向やクロスアポイントメント制度の活用、IT企業・地元企業等から招へい、地域の産学官連携の場において派遣を協議・調整するなどが挙げられています。

実際に、各大学などでの実務家教員の役割や、確保・活用の方策と事例を以下のとおりまとめています。

出典:第3回 デジタル人材育成推進協議会 2023.9
出典:第3回 デジタル人材育成推進協議会 2023.9

数理・データサイエンス・AI教育の全国展開の推進

特に力をいれているのが、数理・データサイエンス・AI教育の全国展開の推進です。

「数理・データサイエンス・AI」教育について、全国の大学・高等専門学校へ普及・展開を実施全国の大学・高専により「数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアム」を形成し、コンソーシアム活動を通じて普及・展開を促進しています。

数理・データサイエンス・AI教育の全国展開の推進出典:第3回 デジタル人材育成推進協議会 2023.9

持続的な産学共同人材育成システム構築事業

文部科学省ではリカレント教育等の実践的教育の推進のための実務家教員育成・活用システムの全国展開に向けて、持続的な産学共同人材育成システム構築事業に取り組んでいます。

目指すべき目標は、産学がともに人材育成に主体的に参画し、中長期的かつ持続的に社会の要請に応えられる人材育成システムの構築です。

出典:第3回 デジタル人材育成推進協議会 2023.9

最後に

私自身、実務家教員として、2022年度から埼玉工業大学の非常勤講師としてお世話になっています。その前年の2021年度後期で、社会情報大学院大学 実務家教員養成課程で半年間学びました。そして、JREC-IN から応募し、非常勤講師の機会をいただいています(社内で兼業申請済)。

まだ経験値は浅いですが、急激なデジタル社会への変化に対応する実践的な教育というのは求められているという印象は持っています。

50代という次世代にバトンタッチしていくという世代に入り、実務家教員として教育現場に貢献していくことができたらと考えています。

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