VUCAの時代にこそ求められるリベラルアーツの最高峰ゲーテ
ドイツ・フランクフルト出張中に、ドイツを代表する文豪ゲーテが生まれ育った「ゲーテ・ハウス」を訪問する機会を得た。
フランクフルトの中心街にある4階建ての豪邸だ。祖父がホテル事業等で大成功を収めた資産家だったことが伺える。ゲーテは、この生家で20歳代半ばまで過ごした。代表作「若きウェルテルの悩み」はこの生家で執筆したと言われる。ゲーテが執筆をしたとされる机の展示もあった。
変化が大きく予測がつきにくいVUCAと言われる時代。ゲーテから学ぶことは多いのではないかと改めて思った。
理由の第一は、自己変革を目指す極めて高い啓発意欲である。
自らの殻を破るために、当時の文化先進地イタリアにて2年間滞在して、イタリア語で現地の有識者と交流した。その内容は「イタリア紀行」としてまとめられている。また、異色の経験としては、ナポレオン戦争においてプロイセン側での従軍経験もある。これらの経験が単に家や研究室に閉じこもって文献検索と思索執筆にふける文豪とは違うのだ。
第二に、自然科学への造詣が深いことだ。
生物学や地質学についての専門知識は深く、比較解剖学において前顎骨が人間の胎児にもあることを発見して学問自体に貢献しているほどだ。鉱山学にも関心が強く、数多くの鉱石を収集している。
第三に、母語であるドイツ語に加えて、英語、フランス語、イタリア語、ヘブライ語など外国語にも関心が高かったことだ。
インド・ヨーロッパ語族ではないヘブライ語まで習得していたことは、語学を大変に重視していたことになる。
現在のビジネスパーソンの視点で見れば、「分野を問わない学習意欲」「最先端のテクノロジーへの高い関心」「外国語と世界への関心」ということになるのではないか。
VUCAの時代こそ、リベラルアーツの最高峰の一つとしてゲーテを読むべきだろう。
※写真は、フランクフルトの「ゲーテ大学」にあるゲーテ像(Wikidemedia)
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