医療にITをどう活用していくか?医療DX化の実現にむけて

2023年7月2日
全体に公開

はじめまして。このトピックスをご覧いただいてありがとうございます。

このトピックスでは医療の現場からの「生の声」を通した問題提起を行い、医療の抱える諸問題を話し合って、解決策をみなさんと一緒に考えていきたいと思います。ITの力による医療DX化を進め、少しでも医療が良い方向に向かうといいなと思います。

最近のITの発展は目覚ましく、Apple watchのような機器で健康管理が可能となったり、ChatGPTのような新しいAI技術が医療分野でも期待されております。

DX化にほど遠い医療現場の現状

ITの発展に伴って、一般企業ではDX化による業務の効率化が実現しておりますが、病院やクリニックではどうでしょうか。

どこの病院でも電子カルテですべて業務が完結しているところは珍しく、患者さんの来院から予約、検査、病状説明、処方箋、お会計、そして紹介状や情報提供書に至るすべてにおいて、紙ベースです。本当に紙です。(病院の紙の使用量半端ないと思います。)

電子カルテ上でカルテや書類を作成し、検査のオーダーを行っていますが、診断書や処方箋などほぼすべての成果物を電子カルテから印刷して患者さんや医療者間で手渡す必要があります。この紙の印刷や手渡しは、大部分が医師の仕事であります。病院によっては事務員を増員し、なるべくそのような業務負担を減らそうとしておりますが、医師の監督下に代行しているという体をとっています。すべての医療業務の責任は医師にあるのです。

医師の働き方改革が始まる!

2024年の医師の働き方改革の実行が迫ってきています。

医師の働き方改革が推進される背景には、長時間労働が常態化し、かつ休日の確保が困難な医師が多いことがあります。

現在の医療は医師の時間外のボランティアで成り立っているところも多数あり、長年見て見ぬふりをされていました。それにメスが入り、時間外労働が厳しく制限され守らない場合は使用者である医療機関に対して罰則が科されることになりました。

さらに、医師の健康を守るために連続勤務は28時間まで、勤務間インターバル9時間ということが決められました。我々大学病院の勤務医は、当直明けに手術を行ったり、当直明けに外病院に出向しアルバイトをすることを日常的に行っていましたが、それが厳しく制限されます。

他業種と比べて労働時間が長くなる理由として、医師の業務が多岐にわたること、勤務体系が特殊であることが挙げられます。

患者の診療だけでなく、入院の説明や診断書の作成なども医師の業務に含まれます。また、宿直や呼出当番などによって、夜間に労働が発生する体制となっています。宿直の翌日に日勤に入るなどのケースもあり、医師の長時間労働は深刻な状態です。

筆者作成

医師の労働時間短縮に向けた取り組みが急務

「医師の働き方改革に関する検討会」では、医師の時間外労働を短縮するために、次の6つの取り組みを各医療機関が行うよう周知を図っています。

1. 医師の労働時間管理の適正化に向けた取り組み

2.36協定等の自己点検

3.既存の産業保健の仕組みの活用

4.タスク・シフティング(業務の移管)の推進

5.女性医師等に対する支援

6.医療機関の状況に応じた医師の労働時間短縮に向けた取り組み

長時間労働を解消するためには、まず労働時間短縮に向けて効率化、適正化をはかることが必要ですが、医者の働き方改革で勤務時間が縮小しても書類仕事が膨大であるため、結果として患者さんへの診療時間を減らさざるを得ない状況になることが見込まれます。

患者さんへの診療時間を減らすことなく医療DX化で医師の業務を効率化したい!

次回からはより具体的な問題点に取り組んでいきたいと思います。

画像:UnsplashのJoshua Sortinoが撮影した写真

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