新規事業のメンタリングに関する3つの問いと答え

2023年6月19日
全体に公開

新規事業をたくさん生み出すには、新規事業を生み出す人だけでなく、「生み出す人を支援する人」も必要です。たとえば、起業家や新規事業家に伴走する「メンター」です。

政府が掲げるスタートアップ育成政策にも、「メンターによる支援の拡大」が謳われており、そういった流れからか、先日も「メンターになりたいと思っているのですが・・・」と、いくつかの質問をもらいました。そもそも守屋はメンター足り得ているのか!?、という話もあるのですが、それでも聞いてもらえたので自分なりの考えを伝えてみました。

そんなことがあり思い返してみたら、「同じようなこと、前にも聞かれたな。よく聞かれること、3つくらいあるな」と思ったので、自分自身への整理の意味も込めてまとめてみました。

①メンターって、どんな存在?

せっかくなのでChatGPTに、「あなたは新規事業のプロです。メンタリングについて合計300文字、キーワード洩れなく、わかりやすく教えてください」と依頼してみました。

<メンタリングは、経験と知識を持つメンターが、目標を持つ人(メンティー)を個別にサポートするプロセスです。メンターはフィードバックやアドバイスを提供し、経験を共有してメンティーの成長を促進します。信頼関係の構築やカスタマイズされたサポートが重要であり、メンティーは積極的な学習姿勢を持つ必要があります。メンタリングは、キャリアやビジネスの成功に貢献し、スキルや知識の継承に役立ちます。双方向の学習プロセスであり、長期的な関係を築くことで持続的な支援を提供できます。>

なるほど、さすがGPT。ポイントがキレイに整理されている。このままGPTと会話を続けたら、より自分自身のイメージに近い表現に辿り着くかも・・・。と思いましたが、ちょっと長くなりそうなので、もともと思っていた守屋なりの表現をストレートに描くと、「メンターは、メンティーとともに、そのとき何が一番大事かを一緒に考える人」だったりします。

新規事業は不確実性の塊。しかも、多くの人にとって初めての体験。そのため、過剰に失敗の恐怖を抱えたり、逆に必要な恐怖を軽んじたり。右往左往と遠回りをしたり、近道を狙ってむしろ遠回りしたり。思い通りにいかないことへの焦りや憤り、自信喪失で追い込まれてしまったり。

こうして彷徨って見失うとロクなことがないです。視点が定まらず、軸がブレ、大事なことを大事にすることなく時間が過ぎ、お金が溶けてしまうからです。そして何より、メンティーの心が擦り減ってしまいます

だから、メンターはメンティーと「何が一番大事か」を一緒に考えていくことが重要なのです。

②どんなメンターが、価値を出せる?

答えは、「メンティーと相性のいい人」です。ただ、それだと答えになってなさそうなので、もうちょっとだけ解像度を上げると、優秀であればイイというわけではない、と思っていたします。理論や理屈、テクニック、ノウハウだけならば、上記の通りChatGPTだけでかなりイケます。しかも24時間365日つねに安定的、機嫌とか都合とか一切ナシ。ただ、そうではなくて、わざわざメンターという「人」が関わることには、意味があると思っています。

どんな意味かというと、守屋は「人は人に影響を受ける」という持論を持っていて、だから、メンターなんじゃないかと思っているのです。メンターと接することで、「この人が言うんだから」という肚落ちで決断に至ることができ、そして実行性が強化されていくのです。

だとしたらメンターは、メンティーが肚落ちするだけの迫力を持っていなければなりません。他社や他国の机上の事例ではなく、自らが体験した修羅場の生々しい経験値です。それらをもとに一緒に考えたり一緒に動いたりする。そして、やり切る決断力と逃げや言い訳に対する切断力を示して、その影響を起業家に与えていく。それが、「メンター(人)」であることの意味なのではないかと思っています。

③メンタリングで大事なことって何?

大事なことはたくさんあって、何を背景や目的するかで、いくらでも回答のパターンはあるのですが、その中でも汎用性が高くて普遍と思っているものに、「4つの大事」があると思っています。

1:大事なことは何かを瞬時に見極める

メンタリングにおいて、メンティーがメンターにすべての状況を隈なく完璧に共有することは、不可能だし非効率です。だから、メンターとメンティーの間には、その事業に関する激しい情報格差が、当然にして存在するのです。それでも「このタイミングでは何を大事にしなければいけないのか」といったことを瞬時に見極める。いつか見た景色だな・・・自身の経験を紐解き、ズバンと的を射ることが出来るのがプロだと思うのです。

2: 混沌を単純化、大事でないことへの逃げを切断

ただ、本質を見極めたからといって、それがメンティーへきちんと伝わるように伝えられるかというと、じつは、なかなか難しかったりします。量稽古をしている経営者同士であれば抽象的な言葉でも十分に伝わりますが、経験値の浅いメンティーに対しては、そうはいきません。かといって、事細かく正確に詳細を伝えようとすれば、むしろわかりにくいだけです。とっても難しいのですが、大事なことは混沌としている状況を上手く単純化して、わかりやすくアドバイスをすることなのです。

また、大事な局面では、余計な何かに逃げてしまう人が少なくありません。これは、試験前に掃除を始めるといった感覚に近いなぁ、と思っています。ww 大事なことは大事なだけあって、手を付ければ骨が折れることは間違いない。だから、ついつい大事ではないんだけど、手を付けやすい細かな作業などに逃げてしまう。自分でもそれじゃいかんと薄っすらわかっていたりもする・・・みたいな。こういったシーンでは、大事ではないことへの逃げをバチンと切断して大事なことにトコトン向き合ってもらうことが大事です。「この課題が8割、他は2割」という状況で、2割のエトセトラに向き合う時間はないはずです。

3:大事なことを大事にすることの肚落ち、組織への浸透と束ね

フォーカスすべきことが決まり、そして、それをやりきる決断を経営者がしたとしても、それだけでは不十分です。多くの場合、その大事なことは、「組織」で対応する必要があるからです。だから組織に方針を浸透させ、みなの力を同じ方向に束ねることが重要なのです。方向がバラけ、たとえば組織の端々で右に向かう人と左に向かう人がいたら、組織の全員がいくら頑張っても互いに打ち消し合って「総量はゼロ」になってしまうからです。

4:やり切るための一切合切

組織に浸透できても、それが「やりきりの足りない一過性」であっては、施策として浅薄すぎます。やり切るための一切合切の支援や壁打ちを続けていき、「やりきるまでやって一区切り」を組織に定着させる必要があるのです。やり切り不足は、戦略や戦術を凌駕するほどの深刻な病だったりするので。

とここまで書き出してみて思ったのですが、読み返してみると、どれも同じようなことしか言っていない。ww

要は、「そのとき何が一番大事かを一緒に考える。大事が定まったらその大事をやり切るために尽力。それがメンタリング」って思っているようです。

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