超富裕層への増税は意味があるのか?

2022年12月14日
全体に公開

所得30億円超の課税強化、政府・与党 25年にも
日経新聞、2022年12月14日

こんなニュースが出てきました。全国に200-300人しかいない年間所得30億円の超富裕層を対象にする増税なんて打ち出しても、そんなに所得のある人は簡単に日本から出れるし、30億円ちょい下になるように調整することもできるでしょうから、実際には意味がないでしょうね。意味ないの分かってるけど、金融所得税は公約してたのだからやった成果づくりにしたいんでしょうね。

また、これだけの年間所得のある人々は、往々にしてスタートアップ経営者で上場時に大金を手にしたようなワンタイムの所得でしかない人も多いでしょう。政府はスタートアップ支援を押し出しているのであれば、創業した会社の上場や売却によりジャパニーズドリームを実現した人に対して高額納税を要求することにもなりかねず、スタートアップ支援の熱を冷ますことになりかねないと懸念します。

ジャパニーズドリームを実現した優秀な人には、どんどん稼いだ資金を投資して、他の日本企業の成長もサポートしてもらった方が日本経済にとってプラスなはず。

稼いだ人から政府に税金で吸い上げられるということは、その税金で吸い上げた資金の使い道を政府が決めることになります。稼いだ人からより高い税金を吸い上げるということは、そうしてお金を儲けた人たちよりも賢いお金の使い方を政府ができると思っているから増税するんだ、とそのぐらいの自覚をもってやっていただきたいところです。

「持つ者から取る」ことをより重視する日本、「優れた人材」を取り込むため税を軽くし成長を急ぐ諸外国、という構図に明らかになってる気がします。ビザや移民政策も同じで、各国優秀なタレントを獲得すべく動いているのに、日本は排他的です。

格差抑制・公平性の確保を気にしたいのは分かりますが、一方で経済成長や起業家チャレンジ、海外からの優秀な人材及び資金の取り込みを抑制する効果があることも併せて考えてほしいと思います。

スウェーデンなどは逆に時間をかけて経済成長のために富裕層の減税を実現した国もあります。

焦点:揺らぐスウェーデンの平等社会、富裕層減税で格差拡大へ
ロイター、2019年4月11日

1970年代まで続いた歴代の社会民主労働党政権は、富裕層に対し、高額な所得税や富裕税、相続税や贈与税、固定資産税を課してきた。
スウェーデンの家具小売り大手イケア創業者イングバル・カンプラード氏ら多くの富裕層は、自身の資産を海外で保有した。
こうした海外流出に直面したスウェーデンは、市場志向の改革に着手し、小規模ビジネスや起業家を優遇した。

相続税も廃止された。

また、相続税についても日本は世界最高水準の税率ですが、近年廃止している国が増えています。ノルウェー(2014年廃止)、シンガポール(2008年廃止)、香港(2006年廃止)、スウェーデン(2005年廃止)、ポルトガル(2004年廃止)など。中国、インド、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアなど以前から相続税が無い国もあります。

税制について、短期的なポピュリズムに陥らず、経済成長をどうすれば実現できるかという大局的視野に立って考えていただきたいと思います。

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