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セクシー田中さん問題で小学館が調査報告書 日テレ側に「第一の問題」
下山 進ノンフィクション作家
『セクシー田中さん』問題の日本テレビと小学館の両調査報告書を読み比べる。
ようやく、小学館が、版元として本来のたちいちに戻っている。
すなわち、原作者は、二次著作であるドラマに対して、著作者人格権、同一性保持権を行使できる立場になるということ。
にもかかわらず、度重なる要請にもかかわらず、原作者の意向を日本テレビ側が無視したこと。
脚本家は、そもそも、原作者が最終二話の脚本自体を書くことをしらされていなかったこと等
を、明らかにしている。
ただ、一点強い違和感があったのは、芦原さんがドラマについては満足していたと強調している点。彼女の最後のブログで、自身が書いた最後の二話について、時間もかぎられていて、不満足な出来だった、とはっきり書いている。
にもかかわらず、日本テレビを批判しながら、芦原さんがドラマには満足していた、と強調するのは、当初発表したコメントでそう言ってしまったからか。
日本テレビの調査報告書には、著作者人格権、同一性保持権の議論はまったくなし。
このままでは、また同じことがおこるだろう。
セクシー田中さん問題 コミュニケーション不足 日テレが調査報告書
下山 進ノンフィクション作家
知的財産が専門の弁護士が調査チームにいたにもかかわらず、講談社vsNHKの裁判の判例にもとづく認識がないのはなぜなのでしょう?
ドラマはあくまで二次著作であり、最初の作品をうみだした原作者の著者人格権は及びます。つまり、原作者が「嫌だ」といったらば、その脚本で放送はできない、ということになります。
これは契約書うんぬん以前に自然権として認められているものなのです。
これは最初の著者がなければ、すべてが生まれないということから、できた権利です。
そうしたアングルからこの問題を整理しないかぎり、納得のいく報告書は、いくら細部をつめても(誰がこう言った、ああ言った)、できないでしょう。
【下山進=2050年のメディア第27回】昔、昔、ニューヨークで。熱いタブロイド紙を彩った二人のコラムニスト
下山 進ノンフィクション作家
シドニー・シャンバーグは「キリング・フィールド」という映画で、ベトナム人の現地スタッフと感動の再開をはたすニューヨーク・タイムズ記者。
ピューリッツアー賞もとっているし、えらくかっこいいと思っていたんだけど、1995年のニューヨーク・ニューズデイの廃刊の際にはそうではなかったのです。
シャンバーグは移籍して働いたニューヨーク・ニューズデイのことについてくそみそに書いていました。
日本でもアメリカでも自分がもといた組織のことを暴露して書くのは、読んでいて本当に後味が悪い。
で、そんなシャンバーグの手記の感想を聞くと「自分たちは最後まで留まって、この素晴らしい新聞が生き残れるようあらゆる努力をした」と、さわやかに応えたニューヨークが生んだ稀なるコラムニスト、ジム・ドワイヤーの話です。
ただし、それも四半世紀前の話。
青木冨貴子新刊からさかのぼるワンス・アポン・ア・タイム・イン・ニューヨーク。
TBS ブルームバーグと戦略的提携 経済・金融ニュース配信
下山 進ノンフィクション作家
ブルームバーグは、トレーダーなど金融機関にサービスを行う会社で、ニュースも流していますが、会社の分析や、証券・債券の分析ツールなどがブルームバーグのサービスをとると使えるようになります。そのサービスをうけるのは月に30万円ほどかかる高額のサービスです。
ということで、ブルームバーグ自身が流しているニュースはかなり専門的なものです。逆にTBSがつくっているニュースがトレーダーに参考になるかというと、これはならないでしょう。TBSのニュースはすべて無料でみることができる。
有料専門型メディアと無料広告型メディアでどう補うのか。
「戦略」的提携とありますが理解に苦しむところです。
ネット記事に発信元情報 偽情報の拡散抑止、来年開始へ
下山 進ノンフィクション作家
オリジネーター・プロファイルは、当初電通がその仕組みを考えていました。最初の案では、プラットフォーマーと協力し配信型広告が、オリジネーター・プロファイルの協同組合がつくる「第三者機関」が認証したサイトにのみ、配信されるというたてつけになっていました。
ヤフーはこの協同組合に参加しましたが、グーグルは参加していません。配信型広告のシェアをいちばん持っているのはグーグルですが、このグーグルなしに、どれくらいの実効性(偽情報を排除する)をもっているものになっているのか、この共同通信の記事ではわかりません。
詳しくは、『2050年のメディア』の文庫版のかきおろし新章に、このオリジネーター・プロファイルの誕生までの経緯が書かれています。
https://www.amazon.co.jp/2050%E5%B9%B4%E3%81%AE%E3%83%A1%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%A2-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E4%B8%8B%E5%B1%B1-%E9%80%B2/dp/4167920328/ref=tmm_pap_swatch_0?_encoding=UTF8&dib_tag=se&dib=eyJ2IjoiMSJ9.RoNZn7tR68NpO9tTrZFTcjr4UJuMPd-yMOBaLmX7xOlVzxHeTibFC-eJi1CcoVgNy725Q1D956_mM279PcQSitcjEUib-x5NUGkmLp7BqS791KMHXT6ZeokouvOQCYeaV-PLY8quQN5ackkss_9xv6kz5IryNbxa4HirB7Ul7hWVN7FHyWtK4UNNl6VcZSe0.4KQfriy-flDxeecu58u_jq9nKI7_scvNwzzc0XfTpSI&qid=1714775905&sr=1-1
【下山進=2050年のメディア第24回】上智大学講義「2050年のメディア」激動の6年を振り返る
下山 進ノンフィクション作家
AERA隔週連載なのですが、GW前後は毎週書いています。
今週は1月に終わった上智の講義についてです。6年の間にメディアの風景もものすごく変わりました。
2018年に授業を始めた時、テレビの広告費は、インターネットの広告費を4400億円強うわまっていました。それが今では、インターネットの総広告費はテレビを1兆6000億円うわまわっています。
地上波をネットで同時配信するなど、とんでもない、という時代だったのが、NHKプラスが始まり、民放もTVerで同時配信を始め、地上波のためのTVerは独自のプラットフォームになることを目指しています。
6年間の学生の発表の中にはそうした未来を先取りした発表もありました。
ありがとう上智大生諸君!
ご協力いただいたメディアの方々へのお礼もあらためて申し上げて。
「グーグルが悪評を放置」医師ら60人が提訴へ…地図上の口コミ、「営業権の侵害」
下山 進ノンフィクション作家
ヤフコメもそうなのですが、こうしたプラットフォーマー上の言論で、名誉毀損にあたるものを書かれた場合、その削除はたいへんです。
というのは、メディアの記事の名誉毀損では、メディア側が書かれた側の取材をしていなかったりすると、「真実相当性」を欠いているとして名誉毀損が成立します。事実が間違っていることを取材もうけていないこともあわせて指摘すると多くのメディアは即座に対応し、記事は削除されます。
しかし、プラットフォーマー上の言説は、「プロバイダー責任制限法」にもとづいて判断されることになります。法自体、言論の自由と書かれる側の権利の侵害のバランスをとるという形のもので、しかもプラットフォーマーの責任を限定しています。
以前ヤフコメの名誉毀損に相当する匿名の投稿の削除を要求したことがありましたが、メールや領収書などの証拠をつけてプロバイダー側に提出し、たいへんでした。
このケースでは、グーグルにそうしたことをしたにもかかわらず、削除されていない、ということだと思います。
そうなると「プロバイダ責任制限法」の中でも、プロバイダーの責任をみとめ、ある程度の賠償が可能になるということになります。
いずれにしても、こうしたクラスアクションは、判例をつくることで、規範をつくっていくことが目的とされているのでしょうから、医師60人の巨大プラットフォーマーに対する異議申し立てが、どうなるのか、注視したいと思います。
【下山進=2050年のメディア第23回】「今は希望がある」遺伝性アルツハイマー病初めての治験がスタート
下山 進ノンフィクション作家
この治験の話、新聞でも報道されましたが、新聞の記事はすごくわかりにくい。
その突然変異がうけつがれる確率は50パーセント、突然変異がうけつがれれば100パーセント若年でアルツハイマー病を発症する。
遺伝性アルツハイマー病は苛烈な病です。
しかも、この家系の人たちは、アルツハイマー病の治験に入りたくとも入れなかった。治験のプロトコルが60歳以上といった年齢でくぎっているので。
DIANという国際研究で、アルツハイマー病の1パーセントにみたない遺伝性アルツハイマー病の人たちが国境を超えてその研究に参加し、日本の家系の人たちも初めて治験に参加することができた。
そういう話なんです。2004年から青森の大きな家系の苛烈な運命を知ってきただけに、私にとっては大きなニュースでした。
記事はリンク欄で読めます。
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