スタンフォード大も注目した革新ビジネス「100均」はこう生まれた。ダイソー創業者の矢野博丈さん、80歳で死去

アメリカのスタンフォード大学ビジネススクールが、日本のある企業のケーススタディを2016年にまとめています。

ケーススタディは「事例研究」と呼ばれ、ビジネスで実際に起こった出来事を詳しく分析・検討して、同じような課題が起きた時に、備える勉強法です。

このケースは、100円の高品質な商品に光をあて、どのように日本の大手消費者チェーンへと変貌を遂げたかを取り上げる。受講者は、この会社がPOS（販売時点の情報管理）のテクノロジーを活用して、配送システムを合理化し、店の商品棚をいかにフレッシュでワクワクし続けるかについて学びます。

ケースの題名は「Daiso of Japan: The Dollar Store」。今回はダイソー創業者の訃報から、身近な100均ショップの創業秘話を紹介します。

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100円ショップの小売チェーン「ダイソー」の創業者で、元会長の矢野博丈（ひろたけ）さんが亡くなりました。2月19日に会社が発表した内容によれば、心不全で80歳でした。

日本では「百均ショップ」の草分け。海外でも「1ドルショップ」という、ビジネスモデルを新たに打ち出して、国内外で合わせて5,200店以上を展開。年間の売上を数千億円規模にまで成長させた功績を、海外メディアも報じています。

ダイソーの「らしさ」って何か？、そしてユニークな経歴と経営哲学を持った矢野さんの足跡、最後に海外でどのように報じられているかを紹介します。

『百円の男ダイソー矢野博丈』

100均のジャンルを開拓し、品揃えで勝負

はじめにダイソーって何が新しく、支持されたのか？　

一つ目は、小売店の一つのあり方を変えたことです。従来、ジャンルごとに店が違い、価格ももちろん違いました。ダイソーは「100円均一」という新たなジャンルを掲げました。このビジネスモデルは、日本ではSeriaやCan Doといった同様の100円ショップを生み、海外でもワンダラーショップへと広がりました。

もう一つの強みは、商品の数の多さ。

文房具やキッチンのスポンジからぬいぐるみ、家庭用品、化粧品、ヘアケア用品、食品まで、約7万6,000点を取り扱っています。このうち90％が自社開発で、毎月1,000品以上を新開発するといいます。

こうして消費者から「もう一度行きたい店」で1位に選ばれるなど、画期的なビジネスモデルと商品力を備えた品揃えの両輪で、成功を収めてきました。

社是は「世界中の人々の生活をワンプライスで豊かに変える」。

現在は、世界26カ国・地域で5,200店を超える巨大チェーンで進出して、2023年2月期の売上高は5,891億円に上ります。