遊びのような仕事術:ワークショップの魅力

2024年3月26日
全体に公開

ワークショップといえば、「工作的な活動を楽しむ催しもの」と私は思っていました。しかしデザイン関係のお仕事についてから、制作プロセスの中に組み込まれた「ワークショップ」に感銘を受けました。「遊び」のような「仕事」でアウトプットを出す手法だと感じたことを覚えています。

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それから月日が経ち、今の私は会社で「デザインファシリテーター」という職種に割り当てられています。デザインファシリテーターとは、プロジェクトやイベントでデザインプロセスをサポートし、目標を達成するためのワークショップやセッションを設計・ファシリテートする人です。

ワークショップを通じて成果を出すことはもちろん、良いデザインカルチャーを育むことは、私がデザインファシリテーターとして重視している点です。本記事では、ワークショップがどのようにしてデザインカルチャーと結びついているのか、その関係性を掘り下げつつその魅力を紹介します。

多様な視点を共有する場

ワークショップは、デザイナーの思考法を共有し、非デザイナーも巻き込んでイノベーションを生み出す場としての役割を担うことがあります。逆も然り、デザイナーへビジネス・マーケティングの思考法を共有することもあります。

エンジニアやマーケティング担当者も参加するなど、多様な視点のコラボレーションを大切にします。この体験が、チーム全体のデザインカルチャーを形成する基盤となります。

成果とプロセスのバランス

ワークショップの成果は目に見えるアウトプットだけではありません。それは、参加者がプロセスを通じて学ぶこと、そしてその学びが組織全体のデザインカルチャーを育てることにあります。ワークショップを通して、参加者が自分たちで問題に取り組むための環境を作っていきます。

クリエイティブな実験場

ワークショップは、失敗を恐れずにアイデアを試すための「クリエイティブな実験場」となります。批判されることなく安心できる空間の中で、参加者は新しいことに挑戦し、大事な気付きを得ることができます。社内の良いカルチャーの醸成には、こうした実験と学びが非常に重要です。

感情をつなぐデザイン

感情は、人と人とのつながりを深め、デザインの深みを増します。ワークショップでは、喜怒哀楽の感情を参加者と共有し、それらをデザインの原動力に変えることができます。感情の共有がユーザーの感謝や不安に共感する基盤となり、より使いやすく、感動を呼ぶデザインに近づいていくのだと考えています。

チームが生み出すエネルギー

チームが一体となって生み出すエネルギーは、プロジェクトの推進力を劇的に上げます。そしてこのエネルギーの持続がデザインカルチャーの発展を促します。私たちデザインファシリテーターは、このエネルギーを維持し、組織に浸透させる役割を担っているのです。

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まとめ

さまざまな職種のメンバーがワークショップを通して、質の良いコミュニケーションをとることで、デザインの価値を会社全体と共有することができます。

普段あまり自分の意見をいうタイミングがなかったり、積もった不満や課題についてコミュニケーションをとる場を設計していくのです。そうすることでプロジェクトに推進力が生まれ、プロダクト、そこに関わるメンバー、会社、そして社会へとデザインの価値が還元されていくのだと考えています。

ワークショップは私にとって、デザインカルチャーを育んでいくための土壌です。デザインファシリテーターとして、私の役割はその土壌を耕し、デザインカルチャーの木になる果実を全ての人と分かち合うこと。そしてそのプロセスを通じて、「誰もがクリエイティビティを解放し、楽しく働ける場」を実現することができると信じています。

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