【漫画】モノポリーで分かるお金

2024年5月20日
全体に公開

前回の記事では、「政府支出がまず先(スペンディング・ファースト)」についてとりあげました。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校のステファニーケルトン教授は、モノポリーの事例を使って、通貨を発行する政府の役割を説明します。

このように、プレイヤーに最初にお金を配るバンカーの役割と、通貨を発行する政府の役割は似ているということになります。バンカーが最初にプレイヤーにお金を渡さない限り、モノポリーのボード上で、プレイヤーは様々な経済活動を行うことはありえません。つまり、通貨を発行する政府が支出して、国民にお金を渡さない限り、国民は通貨を介した経済活動を行うことはできないのです。モノポリーのバンカーと通貨を発行する政府は通貨の「発行者」であり、モノポリーのプレイヤーや、一般の家計・企業・地方政府は通貨の「利用者」ということになります。

5/12にイーロン・マスク氏がポストしていた件が、まさにこのことです。

イーロンマスク氏は、モノポリーの公式ルールブックの「もし銀行がお金が無くなったら?」という質問と回答を引用しながら、「(これが)連邦準備制度(the Federal Reserve)の仕組みだ」と言っているわけです。

Q.もし銀行にお金がなくなったら?
A. 銀行にお金がなくなれば銀行は破産すると思っているプレイヤーもいるでしょうが、銀行は破産することはありません。プレイを続けるため、銀行は、再び運営するために十分に必要なお金をもつまで、各プレイヤーの銀行との取引を紙を使って記録しましょう。銀行家(バンカー)は、普通の紙をつかって新しいお金を発行することもできます。
モノポリー公式ルールブック

通貨を発行する側が、通貨の不足に陥ることがあり得ないということを、マスク氏も主張しているということではないでしょうか。

次回は、税金の話をまとめます。

※またまた余談ですが、上記の漫画は、豪州ニューカッスル大学のビル・ミッチェル経済学教授とともに進めている「スミス一家とお金の冒険(The Smith Family and its adventure with money)のプロトタイプ版の漫画の一部です。現在連載しているものは、英語の台詞は全てミッチェル教授が書いていますが、プロトタイプ版は私が台詞含め全部書いており、今の漫画と関係はありませんので、ご留意くださいませ。キャラクターはプロトタイプ版も今もそれほど変わっておらず、かれこれ2年ほどスミス一家を描き続けているのかと思うとなんだか感慨深いです。

スミス一家とお金の冒険の漫画は以下から読めます。


【参考文献】

●財政赤字の神話(ステファニーケルトン著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4150505888?ref_=cm_sw_r_cp_ud_dp_HBRS2V5ECDBG6NV13RGF&skipTwisterOG=1

●イーロン・マスク氏ツイートの日本語訳

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