人手不足の解決策。多様な雇用を受け入れる社会へ

2024年4月28日
全体に公開

少子高齢化が進む日本で、人手不足が深刻な課題となっている。

状況を打開するひとつの方法として、多様な人材を最大限活用することが叫ばれているが、「厚生労働省 令和4年版 働く女性の実情」から、変わりゆく働く女性の状況を踏まえて、人手不足の解決策を考察してみた。

なお、同日のNewsPicks特集では、別の視点から人手不足の解決策について紐解いているので、そちらも参考にしてほしい。

GettyImages

1.日本社会の働く女性の状況

【令和4年 働く女性の状況(括弧内は前年比)】

・女性の労働力人口:3,096万人(👆16万人)

・労働力人口総数:6,902万人(👇5万人)

・女性雇用者数:2,765万人(👆26万人)

・雇用者総数に占める女性の割合:45.8%(👆0.3ポイント)

・女性の完全失業者数:73万人(👇5万人)→完全失業率:2.4%
厚生労働省「令和4年版 働く女性の実情」

女性の労働力人口は3,096万人と、前年と比べ16万人増加。しかし、男性は3,805万人と前年と比べ、22万人も減少している。

男性の労働力人口は減少する一方、昭和60年(1985年)に女性の労働力人口は2,367万人だったが、40年弱で700万人以上の女性労働力人口が増加した。

筆者は、女性ヘルスケア×イノベーションの分野で、日々リサーチをしているが、女性労働力人口の増加に伴い、女性の体調変化による課題が局所的に大きく顕在化し、女性特有の健康課題に苦しむ女性が増加していることを痛感している。

GettyImages

2.25歳〜64歳の女性年齢階級別・労働力人口が過去最高

【令和4年 女性の年齢階級別労働力率(括弧内は前年比)】

・25歳から64歳の5歳階級別において、比較可能な昭和43年以降、女性労働力率が過去最高

・2012年と比較し、すべての年齢階級で労働力率は上昇

・上昇幅が大きいのは、60〜64歳(👆18.2ポイント)、30〜34歳(👆12ポイント)、55〜59歳(👆11.2ポイント)となっており、全体の形はM字型から台形に近づきつつある
厚生労働省「令和4年版 働く女性の実情」

M字型というのは、日本女性の労働力率に見られる曲線形状のことである。以前は女性が結婚や出産をきっかけに離職し、家事や育児に専念する傾向にあり、その世代の女性労働力率が下がる傾向があった。

しかし、働く女性が増加し、現在ではM字型から台形に近づいている。下記グラフのピンク線(1982年)をみると、25歳〜34歳の数値が急激に下がっているが、赤線(2022年)は数値の動きが滑らかになっている。

男女共同参画白書 令和4年度男女共同参画社会の形成の状況 https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r05/zentai/pdf/r05_tokusyu.pdf

3.女性労働力率上昇の裏にあるもの

【令和4年 女性の配偶関係別労働力率(括弧内は前年比)】

・未婚者:67.6%、有配偶者:57.2%、死別・離別:31.5%

・有配偶者は、前年と比べて、「65歳以上」を除く年齢階級において、労働力率は上昇

・2012年と比較すると、すべての年齢階級で労働力率は上昇。女性の年齢階級別労働力率の底である「35〜39歳」も14.4ポイント上昇
厚生労働省「令和4年版 働く女性の実情」

2012年からの配偶関係別の労働力率の変化として、「30代&60代前半の配偶者のいる女性の労働力率の増加」がある。

しかし、共働き世帯の増加により、女性の労働力率が上昇しているが、雇用形態別雇用者数をみると、女性は正規の職員・従業員の割合が上昇しているものの、正規の職員・従業員が1,250万人(46.6%)に対し、「非正規の職員・従業員」が1,432万人(53.4%)と、非正規の職員・従業員の割合が多くなっている。

GettyImages

4.まとめ

男性と比較し、女性の「非正規の職員・従業員」が多い理由は複合的であるが、育児や介護などの家庭的な責任は、女性が多く担っている傾向にあり、正社員よりも働き方の柔軟性が求められる。

また、一定数の女性は、家庭との両立を考えた際に、自発的に非正規雇用を選択しているケースもあるが、現実には男女間の格差や昭和のジェンダー観が根強く残っている場合も多い。

人材不足を解消するために、女性の社会参加が求められている。

男性の家事・育児を後押しする一歩や、テレワークなど柔軟な働き方の導入はもちろんだが、個人の生活スタイルや価値観に合わせた人材マネジメントや公平な評価制度など、時代の変化の先をいく人材戦略が、人材不足を救う一助になると考えている。

5.【お知らせ】フェムテック起業家インタビュー

🔗Youtube→ https://www.youtube.com/watch?v=TcUv0DlM9F4&t=1066s

Femtech Community Japanでは、フェムテック起業家に、創業の想いや事業概要をインタビューする「Femtech-X」をYoutubenoteではじめました。

第1回目のゲストは、更年期×DeepTechスタートアップのYStory Janetさん。更年期の領域は、情報がまだまだ少ないので必見です。ぜひご覧ください。

6.【イベント案内】5月15日(水)開催:女性の健康課題とパフォーマンスの可視化

🔗イベント申込→ https://femtechcommunityjapan20240515.peatix.com/

Femtech Community Japanでは、女性の健康課題に取り組む企業から、女性特有の健康課題が、業務効率や就業継続に与える影響についてのイベントを企画しました。

当日は会場にいますので、みなさまにお会いできるとうれしいです。

Facebookグループでは、参加費用が半額になるクーポンコードも発行していますので、そちらもぜひご利用ください。

🔗Facebookグループ→ https://www.facebook.com/groups/femtechcommunity

https://femtechcommunityjapan20240515.peatix.com/

***

記事の感想やご意見をコメント欄やXでお待ちしています。このトピックスを気に入っていただけたら、ぜひフォローいただけるとうれしいです。

トピックスのリンクはこちら👉 https://newspicks.com/topics/femtech

***

著者:木村 恵(一般社団法人Femtech Community Japan 理事)

保険業界に20年近く在籍。生保で健康増進型保険の企画、損保で大規模システム開発のプロジェクトマネジメントに従事。

業界団体の理事、NewsPicksトピックスオーナー、スタートアップ顧問を兼任。「女性ヘルスケア×イノベーション」の専門家として、起業家支援や大企業の新規事業相談に応じている。

社会情勢や海外ビジネスモデルに関する考察をメディア等で多数発信。経営学修士(MBA)。

・トップ画像:GettyImages
・参考資料:厚生労働省 令和4年版 働く女性の実情
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/22.html

応援ありがとうございます!
いいねして著者を応援してみませんか



このトピックスについて
津覇 ゆういさん、他377人がフォローしています