「文章わかりやすいね」と言われる人が実践する2つの習慣

2024年4月22日
全体に公開

こんにちは!

前回、「うまい文章」をこう定義しました。

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うまい文章=「わかりやすさ」×「モチベーション」×「独自性」

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今回は、1つめの要素である「わかりやすさ」を高める習慣を解説します。

「わかりやすさ」は、「知識(=わかりやすく書く方法を知っているかどうか)」で解決できる部分が大きいのですが、いくらたくさんのノウハウを知っていても使わないと意味がありません。

今回紹介する方法を繰り返して、効率的に「わかりやすい文章」を書けるようになりましょう。

SNSや本で実践!「瞬間要約」

1つめは「瞬間要約」。とくに、ロジカルでわかりやすい文章を速く書きたい人におすすめの方法です。

ビジネス文章では、論旨や主張が明快であることが何より大事。小説やエッセイであれば「100人中1人にとことん気に入ってもらえればいい」という考え方もありますが、ビジネスシーンではそういうわけにもいかない。メールや日報、企画書、レポートなどは100人中100人に理解してもらえなければなりません。

では、ロジカルでわかりやすい文章を速く書けるようになるには、どうすべきか。

結論は、「書く前に、頭の中で【流れ】や【メッセージ】を描く力」を鍛えること。つまり、「書くこと」よりも「書く前に考える時間」を効率化しよう、ということです。この力があれば、あれこれ考えながら書く時間も、文章を整える手間も大きく減らせます。

とくにおすすめしたいのが、今すぐ実践できる「瞬間要約」

たとえば、ビジネス書や実用書を読んでいるとき、目次を見てその本のロジックを組み立ててみましょう。著者がどんな流れで内容を展開しているのか、各章はどのような関係性にあるのかを考えます。

ただ考えるだけでは不十分なので、組み立てた要約を言語化するのがベスト。最初は1分以内、理想は10秒以内で「目次を見ただけで本の内容を説明できるようになる」のが目標です。

X(旧Twitter)ならトレンドになっているキーワードを検索し、最初の10〜20投稿を見て「つまり、いま話題になっているのはこういうことだ」と要約してみる。投稿者たちが伝えたいメッセージや、それらに共通する点を探ります。

本やSNSの投稿を「瞬間要約」する習慣をつけることで、情報を整理し、ポイントを素早くつかむ力が身につきます。

そうすると、自分が文章を書く際にも、「なにを伝えるべきなのか」が明確な状態で書き始められるようになります。

そう。ロジカルでわかりやすい文章を速く書ける人は、タイピングやフリック入力が速いというより、「頭のなかで論点を組み立てるスピード」が速いんです。

体に覚えさせる!「文字数トレーニング」

2つめは「文字数トレーニング」。広報・PR担当者、あるいは編集者やライター、小説やエッセイを書きたい人におすすめの方法です。

スポーツや楽器のように、文章においても「量稽古」は欠かせません。書きたいと思ったことを読者に伝わるような構成・表現で書けるようになるまでには、人によって差はあれ、一定の訓練が必要です。

ぼく自身、12年間の編集者キャリアのなかで、「毎日書く」「写経する」「翻訳する」などいろいろな訓練を試してきました。

そのなかで一番鍛えられたと感じたのが「文字数トレーニング」です。この方法で、書くためのいわば「体幹」が身についたと思っています。

文字数トレーニングとは、「20字、100字、300字、1,000字、3,000字、10万字」の6パターンの文字数に合わせて書く練習をすること。

なぜ、この6パターンなのか。それは、それぞれ実際の文章作成シーンで求められる文字数だからです。

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  • 20字:タイトルや見出し
  • 100字:リード(導入文)
  • 300字:記事の要約、1分間の自己紹介文
  • 1,000字:商品紹介やプレスリリース
  • 3,000字:ネット記事や簡単な報告書
  • 10万字:書籍一冊分

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この6パターンで書く練習をすることで、それぞれのシーンに適した文章力が身につきます。

たとえば20字なら、無駄な言葉を削ぎ落とし、印象的なフレーズを生み出す練習になります。10万字では、読者を飽きさせない構成をつくる力や長文としてのリズムが養われます。

ただ、いきなり10万字はハードルが高いので、20字から順番に鍛えるのがおすすめです。

たとえば、以下のような3カ月のトレーニング予定を立ててみるのはどうでしょうか。

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1カ月目

  • 1週目:毎日「20字、100字」で書く

・20字は、その日一番印象に残った出来事を表すタイトルを考える

・100字は、そのタイトルに沿った内容を書く

  • 2週目:毎日「300字」で書く

・ 仕事で起きた出来事を報告する文章、友だちに勧めたいお店の紹介文など

  • 3週目:「1,000字」を5本書く

・興味のあるテーマについての考察、最近読んだ本の感想など

  • 4週目:「3,000字」を3本書く

• 自分の専門分野に関する解説記事、趣味について深掘りした記事など

2、3カ月目

「10万字」を1本書く(毎日2,000字を目標に)

【10万字を書き上げるためのヒント】

  • 書きたいテーマを決め、章立てを考える
  • 毎日決まった時間に書く習慣をつける
  • 書いた文章は寝かせて、後日推敲する

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「本一冊を書くつもりはない」という人は、1カ月目と同じ流れを3カ月繰り返すのでもOK。タフな3カ月ですが、実行できたら見違えるほど文章力が上がっていると思います。

文章力アップに王道なし。地道な積み重ねがなにより大切です。

ちなみに文字数の基準は、いわゆるタイパ時代になってどんどん短くなっていると感じます。ただ長い文章を書ける力があると、短い文章でも深く・遠くまで届けられるようになります。近視眼的な、目先の人参をぶらさげるような文章でしか読者をリードできなくなる、ということはなくなるはずです。

来週は「うまい文章」の2つめの要素「モチベーション」を高める方法について考えてみます。

では、また次回の記事でお会いしましょう。

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