お金を「今使う」べきか「一定期間経った後に使う」べきか、考え方を整理してみた

2024年4月20日
全体に公開

前回の記事では、「若いうちに必要なのは「金融資産への投資」と「経験への投資」、どっちが正解?」を考えました。
結論、人間には寿命があるので、複利効果をできるだけ長く活用したいなら、「金融資産への投資」と「経験への投資」両方とも早く始めようということでした。

今回は、お金を「今使う」べきか「一定期間経った後に使う」べきか、考え方を整理したいと思います。

お金は使うために存在する

そもそも、お金は使うために存在します。単なる道具に過ぎません。
お金というものが存在する理由は、お金とモノを交換する「価値の交換」でき、異なるモノの価値をお金をというひとつのものさしで表す「価値の尺度」があるからです。

そしてお金という形で「価値の保存」がしやすいので長く貯められる性質があります。
貯金残高が増えていき、その数字を見れば嬉しくなる人もいるかもしれません。
しかし、お金を貯めるという行為は、将来時点の自分が不自由せず生活できるように備えるために行います。

よって、使い切れないくらいお金を貯めることは意味がないとも言えます。

お金を「今使う」と「一定期間経った後に使う」は、期間選択の問題でもあります。
・目先の満足をとるか、今は我慢して将来のより大きな満足を求めるか
・目先の消費か、貯蓄して将来の退職後の生活資金とするか

どちらか片方を優先するのではなく、「今」も「将来」も大事にして、お金を使うのが正解です。優先順位は、自分が置かれる状況、年齢などによっては変わるので、常に自分と向き合い考えるのが重要だと思います。

将来に備えるために、「今」を犠牲にしてよい訳がない

老後が不安だから、将来が不安だからと、せっせとお金を貯めるのは悪いことではないです。しかし、今の生活の満足度・充実度まで下げて、我慢して貯蓄するのは違うでしょ、ということです。

若いうちだからこそできる趣味や楽しみ、スキルアップのための自己投資まで犠牲にしながら目指すべきものではないと考えています。

「生き方を変えるマネー本」として話題の『DIE WITH ZERO』(ビル・パーキンス著)でも「節約ばかりしていると、そのときにしかできない経験をするチャンスを失う。その結果、世界が必要以上に小さな場所になってしまう。人生は経験の合計だからだ」と説いています。

ダイヤモンドオンラインに『DIE WITH ZERO』の書評記事を寄稿したのでぜひそちらもお読みください。

「目的のない貯金」もある程度必要

しかし、経験が重要だからって、「今」お金を使うことに集中しすぎるのも違うかなというのが僕の意見です。再三言いますが、「今」と「将来」のバランスが重要だと思っています。

全世界累計200万部、55言語で刊行されている『サイコロジー・オブ・マネー』(モーガン・ハウセル著)によれば、「住宅や車の頭金、あるいは老後のためにお金を貯める人がいる。もちろん、それは素晴らしいことだ。しかし、特定の目的がなくても貯金はすべきだ」と説いています。

目的のない貯金をすれば、選択肢と柔軟性が手に入る。貯金があれば、待つべきときはじっと待てる。チャンスが来たら飛びつくこともできる。考える時間もつくれる。自分の意思で人生を軌道修正できるようになる」と述べています。

ファイナンシャルプランナーの目線で言えば、もしもに備えるために必要なお金として、生活費の6ヶ月分を預貯金として持っておいた方が良いとアドバイスしています。

生活費の6か月分を預貯金で持っておく理由は、不測の事態に備えるためです。
急な病気やケガで働けなくなったり、リストラや会社の倒産にあったりすることも、ないとはいえません。もしものときに少なくとも半年分の生活費があれば、非常事態があったときにも落ち着いて対処することができるからです。
もしものときのお金は、すぐに使えることが重要ですので、預貯金であることが大切です。

お金はある程度貯金しておくことで、選択肢を増やすことができます。
「時間をコントロールできる」かどうかは大事な視点
です。
「今使う」と「一定期間経った後に使う」のバランスを考える上でも取り入れておきたい考えです。

今を満足するための消費や浪費は「限度」を設ける必要

ある程度の浪費は経験しておくべきものだと私は考えています。
なぜなら、お金は使ってこそ価値があるものだからです。若いうちにお金を使う練習をしておかないと、いざというときにうまく使うことができず、お金から満足を得ることができなくなってしまいます。

要は、「足るを知る」ということです。

とはいえ、限度は設けないと将来に備えることは難しくなります。
自分の支出傾向を把握し、無駄な出費は削減していくことが重要です。
・3ヶ月程度「何に」「いくら」お金を使っているのか
・何にお金を使うと、自分は満足度が得られるのか
・必要な支出、不必要な支出はどんなものがあるのか

クレジットカード、電子マネー、スマホ決済などのキャッスレス決済が主流となっていますので、明細や購入履歴をもとにチェックしていきましょう。
家計簿ノートや家計簿アプリを活用するのも手です。自分が継続しやすい方法で自分の使う傾向を調べていきましょう。

最善策は「固定費の削減」

支出削減は毎月決まって一定額発生する固定費から行うのがベターです。
固定費には、住居費、通信費、水道・光熱費、保険料、自動車費、サブスク代、その他年会費・月会費などがあります。固定費は金額が大きなものが多く、1度見直すと効果が長続きします。

今の時代は、お金をかけずとも不自由なく快適に暮らしやすくなっています。
今の生活の満足度や充実度と照らし合わせ、お金をかける必要のない支出は徹底的に見直して、支出のメリハリをつけていきましょう。

特にスマホ代は節約の王道です。大手キャリアのサービスを利用していると、毎月1万円近くの費用がかかることもあります。スマホの格安プランを利用すれば、月2000円程度で済みます。
ほかにも、電気とガスを同じ会社から購入する「電気・ガスセット割」を活用すると年数千円の費用削減ができる場合や、シャワーを節水シャワーにしたり、節水コマを取り付けたりすると年数千円から1万円程度の削減ができる場合があります。

著書「はじめてのお金の基本」(成美堂出版)「1日1分読むだけで身につくお金大全100」(自由国民社)「そのままやるだけ! お金超入門」(ダイヤモンド社)などでも色々と支出削減策は紹介していますので、気になる方はぜひチェックください。

大事な「キーワード」「フレーズ」をメモして振り返ろう

さて、今回紹介した書籍『DIE WITH ZERO』と『サイコロジー・オブ・マネー』ですが、前者は「お金は使える時に使え。お金を経験に変えることが重要」と説き、後者は「目的のない貯金が最大の価値を生む。お金があることで時間がコントロールできる」と説きます。

どちらも意見を突き詰めていくと、お金の価値観が矛盾してしまうことがわかります。
誰にとっても「正解」となる、お金の正解は世の中に少ない」という記事でも書いたように、どちらかだけの意見が正しいということはお金の世界ではほとんどありません。
大事なことは、それぞれの意見の良さを取り入れて、バランスよく実践していくことだと思います。

今回はいくつか大事な「キーワード」や「フレーズ」を紹介しました。
「今」も「将来」も大事にして、お金を使うのが正解
人生は経験の合計
足るを知る
「目的のない貯金」もある程度必要

机やPCに付箋を貼ってもいいし、手帳に書いてもいいし、スマホのメモでも良いので、いつでも見られるようにすることをおすすめします。

お金の価値観は、自分が置かれる状況、年齢などによって変わっていくものです。
日々自分と向き合い、自分にあったお金の価値観を醸成して、行動していくことが人生を豊かにする秘訣かと思います。

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