マイクロアグレッションを最小限に抑える - Amazonに習う

2024年1月14日
全体に公開

前回の記事「離職のリスクを軽減する - 毒会社と毒上司にならない方法 Amazonに習う」にて、Amazonが行っているリーダーシッププリンシパルにそって企業が行動指針を設定することが、社員にとって企業全体が一貫性を持ち、毒上司、毒会社よりも上位の行動指針によって社員が行動できと、離職率も抑えられるであろうという記事を投稿させていただきました。今回は、どこにでも存在する「マクロアグレッション」を生じさせないためにも行動指針がとても重要だというお話をさせていただきます。

差別的な発言、偏見からくる働きにくい雰囲気

以下、私がこれまで自分で経験したり、見たり、相談を受けたりした実際の内容です。みなさんもご経験ないでしょうか?

- 独身であるがゆえに損をしていると感じる。子供がいる同僚が早く帰ったり、子供を理由に様々なことが免除されていると感じる。

- 男性社員からも、独身だからたくさん働けるよね、と仕事を振られることがある。(そういう気になる)

- 子供が理由で早く帰らなければならない、急なお休みは、とても言い出しづらい。

- 男性上司が女性である自分への言動が明らかに他男性社員と異なる。

- 男性社会の中で、自分が女性であるがゆえに、情報が共有されないことがある。

- 男性の上司が女性部下には甘いが自分(男性)には仕事もたくさん振られ、差別を受けているように感じる。

- 会社でたくさんの人がまだ仕事をしている中で、自分の仕事が終わって先に帰りづらい。

- さすが女性だね。仕事が丁寧で男性とは違う、と評価され、複雑な気分になる。

- ゆとり世代はやっぱり早く帰るんだ、と年代が異なる社員からの言動が出る。

等々

これらに共通することは、当事者たちは意識しておらず、無意識での行動・発言であり、受け手としては、「勤務時間」「仕事(タスク)」「性別」「家庭環境」などが評価とつながっていると考えているため、自分と同じ立場、もしくは、上司からの自分の評価が、同僚などの他人に比べて自分が不利になる、もしくは、自分がとても損をしていると感じる(実際に人事評価で損をしてしまうケースもあります)からであり、これは、本人たちの意識改革も必要ですが、会社の制度や組織文化に問題があるからだと思います。(実際には、ハラスメント認定されるような言動や態度、人によって差別をするような状況を省きます)

明らかなハラスメントではなく、なんとなく無意識にでている言動や偏見に差別的な行動や言動が含まれてしまうことを「マイクロアグレッション」といいます。

ハラスメントについては、昔と違い、社内でも随分と制度も整ってきました。

しかしながら、無意識レベルでの差別・偏見に基づく「マイクロアグレッション」が、職場の組織文化として古くから変わらず根付いている可能性がある企業が多いと感じますし、この無意識の行動により、働く意義や会社への不信感につながると感じます。

Amazonの人事評価

ここで、Amazonの人事評価を見ていきます。

働いている以上、「人事評価」はお給料や仕事のポジションにも影響しますので非常に重要です。Amazonでは、人事評価はすべて、リーダーシッププリンシパルの元評価されます。社長や役員含め全員です。*ちなみに360度評価となるため、複数の同僚、上司、部下が評価します。

たとえば・・

「Ownership ・・・リーダーはオーナーです。リーダーは長期的視点で考え、短期的な結果のために、長期的な価値を犠牲にしません。リーダーは自分のチームだけでなく、会社全体のために行動します。リーダーは「それは私の仕事ではありません」とは決して口にしません。」

という項目があります。この内容にそって評価します。positiveの例としては、XさんはYという課題に自ら問題提起をし、問題解決のために自分のチーム以外も巻き込み、Aというプロジェクトを立上げ、生産性をB向上した。need to developの例としては、Zさんは、Zさんがオーナーであるプロダクトに関して物流に関するお客様からのフィードバックがあったが、それは私のチームで対応する事案ではないといい、協力を仰げなかった。自分たちもプロダクトの詳細がわからない部分があるため、USに聞きまくり、解決まで時間がかかることがあったため、今後は自分のプロダクトにもう少し責任を持つといいと思う。

このように評価がされるため、逆を言えば、リーダーシッププリンシパルにない項目は評価に関係がありません。リーダーシッププリンシパルは、そのまま人事評価なのです。

マイクロアグレッションを生じさせないために

人間なので、どうしても、無意識のアンコンシャル・バイアスはゼロにはできないと思います。しかしながら、「職場」に関しては、社員の考え方や価値観、組織文化、慣習を、改善することは可能と考えます。

個人の価値観はそれぞれ異なりますが、少なくとも組織文化や組織における価値観は、職場なのであれば、Amazonのように、企業文化、人事評価、組織文化は「リーダーシッププリンシパル」で統一がされていれば、社員が同じ方向を向き、同じ考えである程度仕事をするため、無意識による差別的な発言の機会はぐっと減ると考えられます。

衝撃的な報告があります。女性の6割がメンタルの不調をかかえ、その原因のトップ3は、

「男性中心になりがちな場に呼ばれない」

「インフォーマルなやりとりや会話から排除される」

「男性の同僚に比べ、会議の場で発言する機会が少ない」

出典:デロイト トーマツ グループ「Women @ Work 2022: A Global Outlook」(2022年6月9日)

とのことです。これは私もすごく経験があります。男性の中で女性が一人だと、どうしても、会話に含まれないことが多く、結果だけが共有され、とても苦労したことがあります・・

個人的には、若ければ若いほど、無意識による差別や偏見も敏感に感じ、メンタルの不調も昔より多く、会社に対する漠然とした不安を抱きがちで、離職につながっていると思います。

もはや、マイクロアグレッションにより働く意義が失われないよう、対策は企業にとって必須と言えます。企業変革に、人事評価も伴う行動指針を取り入れませんか。

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