イサム・ノグチ庭園美術館で学ぶアートによる地球再生

2024年1月13日
全体に公開

高松市牟礼にあるイサム・ノグチ庭園美術館を訪問した。週に3日のみ予約制での鑑賞が可能なプレミアム美術館だ。以前から行きたかったのだが、日程を合わせてようやく訪問できた。源平合戦があった屋島も近く風光明媚な場所だ。

イサム・ノグチ(1904-1988)は、日本人の父親とアメリカ人の母親のもとにアメリカで生まれ、日本とアメリカで育ったアメリカ人彫刻家だ。子どものころ日本では、いじめに遭い自らのアイデンティティに悩んだ。この葛藤が彫刻と言うアートに昇華されたと考えられる。

イサム・ノグチは、自然豊かな高松市牟礼を気に入り、自宅兼アトリエを建築。この地に晩年の20年にわたり居住した。その自宅兼アトリエが美術館になっている。自宅跡は、イサム・ノグチの美意識を象徴するようにシンプルな和風オブジェが飾られていた。

改めて、現在の我々にどんな示唆を与えてくれるかを考えてみた。

第一に、シンプルなミニマリスト的な生き方である。

本当に必要なもの、自らの創造力強化に繋がるものに特化して、身の回りに置いていたのではないかと思う。大量生産・大量消費慣れている我々への警告のように感じる。

第二に、地球・自然への深い敬意である。

イサム・ノグチの有名な言葉に、「人間が傷つけた土地をアートで再生する」というのがある。人工的な建造物で人間が破壊してきた地球・自然。

その地球・自然に、自然の石を素材にしたアートを創ることで、地球・自然に謝罪しているようにも感じた。

できる限り自然の素材を活用して、地球・自然と調和する形でアートとして提示する。そして、人々に対して、地球・自然に向けた問題喚起をする。

今こそ、アートによって地球再生を目指したイサム・ノグチの思いを現代の我々が継いでいくべきではないかと思う。

※写真は、カリフォルニア州にある「ノグチ・ガーデン」。無料サイトUnsplashから取得。

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