豊岡演劇祭で変わる街のダイバーシティ

2023年10月1日
全体に公開

9月14日から24日まで、兵庫県豊岡市を中心とする但馬地域で豊岡演劇祭が開催された。海外からの参加を含め、数多くの演出家、舞台関係者、俳優が集った。

演劇祭で会ったある東京の著名芸能プロダクションの方は、「国内でこれほどのレベルの演劇祭はない。大変に質量共に充実している」と話していた。

例えば、演出家の最高峰の岸田国士戯曲賞を受賞している市原佐都子さん演出の「弱法師」は、文楽の技法を生かして人形を使って、人間の奥底の衝動を見事に描いていた。心の中に忘れられない重しを残してくれた。

演劇祭に並行して数多くのイベントが開催されていた。その中の一つに、中貝宗治前豊岡市長と思想家の内田樹氏の対談トークがあった。中貝さんは、「小さな世界都市」を掲げて、演劇で世界に通用する街づくりを推進されてきた方だ。

その中で、中貝さんは、「数多くの演劇を見てきた。中には、座ったまま手を動かすようなパフォーマンスもあった。正直理解できないものも多い。こんなのでもいいのだと思った。」と語っていた。

確かに、現代の演劇は、様々な演出があり、演劇を見慣れていない人には???というものもある。しかし、「こんな演出でもOK。」「こんなストリー展開でもOK」なのだ。

この考え方は、多様性を受け入れる思考に繋がるだろう。自分の経験値や価値観の枠を取り除くからだ。実は演劇、特に現代演劇にはそのような効果があるように思う。

豊岡市が演劇を通じて、ダイバーシティが進展するのではないか。そんな大きな希望を感じた瞬間であった。

日本のみならず、全世界で演劇を通じてダイバーシティが進む。そのような時代が是非来てほしい。

※写真は、豊岡市出石にある永楽館。wekidimediaの写真より。

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