喘息持ちのワタナベさんがバイオベンチャーへの投資でFIRE【運を呼ぶ方法】

2023年3月28日
全体に公開

🔥運がいい人、悪い人。あなたはどちらでしょうか?

経営の神様、松下幸之助さんは採用面接で

「君は運がいいか?」

という質問をしたそうです。
「運」とは一般的に、その人の意思や努力ではどうにもならない巡り合わせのことを指します。出身地や幼少期の家庭環境、持って生まれた心身の特性など、自分の力で変えられないことは多々あります。

しかし困難な境遇にあっても、自ら運を掴みに行く人がいます。

最近私はそんな「すごい人」に出会いました(第1回「きっかけは380万円ご支援いただいたクラウドファンディングから…」)。

それは2021年に行ったアルバム制作費のためのクラウドファンディングでのこと。「あなたの人生の本を書きます!」という100万円のプランをご用意したところ、私のライブにも足を運んでくれたことのあるワタナベさんという投資家の方が支援してくれました。

そこでお話を伺ったことが、このトピックス開設のきっかけにもなりました。

昨今、十分な貯蓄を作り上げた後に早期退職する「FIRE」というライフスタイルに注目する若者が世界中で増えているそうですが、ワタナベさんの生き方はまさにFIRE。

ワタナベさんは38歳の頃から株式投資を始め、肺の病気の薬を開発していたバイオベンチャーへの長期投資によって資産を大幅に増やしました。その背景には自身が長年喘息に悩まされていたことから、多くの人が救われてほしいという想いもありました。現在は自然豊かなリゾートマンションで暮らし、喘息の症状も改善したそうです。

🔥投資を始めたきっかけは?

若い頃大阪で一人暮らしをしながら音楽の道を目指していたワタナベさんは「50万円貯まったら上京しよう」と考え、スーパーの配送センターで働いていました。

しかしある日の仕事からの帰り道、原付バイクで左折する際に対向車がものすごいスピードで右折してきてあわや接触。事故は免れたものの、ワタナベさんはその対向車を追いかけました。すると車の窓がゆっくりと下がり、中から出てきた手にピストルが握られていたのです。

暴力団同士が揉めているという物騒なニュースが広まっていた地域でした。ただの威嚇だったとは思うけど、もしかすると怪我や命の危険があったかもしれません。

こんな夜に撃たれたら、朝まで発見してもらえないのでは? そこでワタナベさんの気持ちは大きく固まります。

「もう、東京へ行こう。」

ビクビクしていられない。だって人生、何があるか分からないから。後悔してからでは遅いから。

そして二ヶ月後、ついに念願の上京を果たします。引越しは定時制高校で仲良くなった韓国人の友達が手伝ってくれました。

この友達は、ワタナベさんの引っ越しを手伝うだけのつもりで東京に来てくれたそうですが、なんとそのまま4年くらい暮らしていたそう。しかしそれがワタナベさんに好機をもたらします。

友達は夜のおしゃれなお店で働き出し、慶應大学の若者たちと仲良くなりました。そこにワタナベさんも誘われ、麻雀をきっかけに新たな交友関係が生まれたのです。

そこでAくんという友達ができました。博識な彼は学生時代から株をやっていました。

のちにAくんに勧められたのが「そーせいグループ」という会社の株でした。

しかし初期段階では185万円が10万円になってしまい大失敗。Aくんは責任を感じてか、あらためてそーせいグループの株主総会にワタナベさんを誘います。

「そこで実際に社長の話を聞いて『これだな!』とビビッと感じたんです。僕からするとスティーブ・ジョブズくらいのプレゼン力を感じましたね。」

そーせいグループはいわゆるバイオベインチャーで、薬の権利を持つ会社。当時ノバルティスという会社が開発していたCOPD(慢性閉塞性肺疾患)という肺の病気の治療薬の権利を持っていました。

イギリスの創薬ベンチャーであるアラキス社をはじめとする多くの会社を買収している会社で、それだけ周囲を納得させるだけの力があるということ。そして社長の話を直接聞いてより深く知ったことで、ワタナベさんは改めて信頼と期待を寄せました。会社の力を信じることに決め、少しずつ株価が上がっていくにつれてまた買い増しをすることにしたのです。一極集中投資で、一時期は96%がそーせいグループの株でした。

「分散投資すると日経平均株価に連動してしか上がらないけど、一極集中で投資するとそこだけ上がればいけるので。でもみんなよく、分散投資がいいよって言うんですよね。だけど資産が少ない間は、早く増やしたいんだったら分散投資は逆に駄目なんですよ。それは僕はギャンブル好きなんで分かってたんで。ただ、もちろんそれはパーになる可能性もある。だから1億いくか、ほぼ資産を無くすか、どちらかだとは思っていました。そこでそーせいグループを知って、良い会社見つけたなと。」

(※この記事のワタナベさんの発言はあくまでも個人の見解であり、投資のアドバイスではありません)

ワタナベさんの鋭い読みは見事に当たり、大成功します。

「最初は誰も見向きもしないような会社だったんですけど、徐々に上がって、一時は一日の売買代金がTOYOTAをも超えるような勢いだったんです。自分みたいにそーせいグループで儲かった人は他にもいると思いますね。」

もちろん、成功までの道のりは順風満帆なものではありませんでした。株を始めた初期の頃は、投資していた会社が倒産したことも。

「それで『これでは駄目だ、もっとリスクを低くしながら投資しなきゃいけない』とさらに勉強したんです。」

失敗を糧にしながら勉強を続けた結果、資産は回復。そこで配当生活の入り口として、リゾート地への移住を決めました。きっかけはこれもAくん。あるときAくんと2人で旅行に行くことに。

「こんな環境だったら持病の喘息も良くなるかもしれないと感じたんです。」

また、株投資はインフラさえ整っていればどこに住んでいてもできます。都会も恋しいけど、とにかく静かで自然豊かな点に強く惹かれました。人の気配が苦手なワタナベさんにとっては最高の住環境。今は喘息の症状も出ずに済んでいるそうです。

それからもそーせいグループの株を持ち続けていました。

「最初は早く売るつもりだったんですけど『これはまだ上がるな』と感じたんです。それが当たってすぐにプラスになりました。そこでドンと売って、ついに配当メインの生活がスタートしました。」

まさに長年のギャンブル経験によって培った、卓逸したタイミングの見定め。麻雀の達人でもあるワタナベさんからは、何事も「状況に合わせて柔軟に」が成功の秘訣なのだと我々は学ぶことができます。

🔥柔軟に生きることが運を呼ぶ

ところで、不思議なことにこれらの出来事からはいくつかの共通点が見えてくるのです。そこには、目に見えない「縁」があるように思えてなりません。

「そーせいグループが開発に関わっていた『COPD』の薬は、喘息とは直接関係はないけど実は遠くもないんです。実際そのCOPD薬をステロイドと併合して、のちに喘息の薬も開発してくれたんです。だから自分としては身近なものでもあります。本当に偶然のことなんですけどね。」

その当時はバイオベンチャーが上場し始めた頃だったので、スポットが当たっていたことは確か。しかしAくんは、特にワタナベさんの持病を意識して勧めたわけではなかったそうです。数ある会社の中から肺の薬の開発に関わる会社への投資を勧めたのは、全くの偶然でした。

振り返ってみると、生まれてから長年悩まされ続けた喘息によって、10代の頃には陸上自衛隊少年工科学校を諦めたこともありました。それを機に入った定時制高校の友人がきっかけとなり、のちにAくんと知り合いました。そしてそーせいグループとの出会い。それらが全てリンクして、今の自然溢れる土地での豊かな生活に繋がっているのです。

もちろんこれまでのハードルを乗り越えたのは全てワタナベさんによる努力、継続、勇気ある決断の賜物です。しかしターニングポイントが物語のように上手く繋がっているのはとても不思議なことのように思えます。まるで、何かに導かれているように。

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