リサイクルの計測方法

2022年11月11日
全体に公開

リサイクル率や再資源化率という言葉、耳にしたことがあると思います。なんとなく想像がついてしまうので気に掛けないと思いますが、この数字の元を皆さんご存知でしょうか? 最近、企業や役所のデータ改竄事件が世間を騒がせております。データの成り立ちを理解しておく事は無駄にはならないと思います。

廃棄物を扱う処理業者さんには、台貫(だいかん)と呼ばれるトラックごと重さを測ることのできる計量器が備わっていることが殆どです。これは廃棄物の処理単価が重さをベースに決められていることが多いからです。廃棄物を積んだトラックが処理業者さんに入場するとまず台貫に乗り、総重量(トラック+廃棄物)を計量します。その後所定の置き場に廃棄物を下ろした後、再度台貫に乗り計量(トラック)、差引が廃棄物の重量となるわけです。

重量が確定すると×単価(○○円/kg)の計算で処理費(処理業者さんにとっては売上)が確定します。台貫はお金に直結する大事な機器ですので正確に計量できることが担保されている必要があります。ですので計量法という法律により2年に一回の校正が義務付けられています。 トラックに1種類の廃棄物しか載せていない場合は、計量は1回(2回)で済みますが、リサイクルのための分別をして5種類有れば当然その分計量が必要になります。想像いただけるかと思いますが中々の手間がかかります。

40tまで計量できる台貫。大勢の人が乗っても重量が出るので、工場見学者(特にお子さん)には大人気。

実は、廃棄物の処理単価の単位には、円/m3(立方メートル)(リュウベイ)という容積ベースのものもあります。容積を計器で測定するのは難しいためこちらは目測になります。なぜ全て重量ベースでないのか?最終処分である埋立処分が重量よりも容積に影響を受ける、ということもありますが、数値が早期に確定しブレない、計量の手間がかからず楽、という利点も考えられます。ただ、目測という不明瞭さゆえか最近は重量ベースが主流になっている感を受けます。(関東では)

ここで話を戻しますと、「リサイクル率」。この数値は重量ベースで計算されます。定期的に校正された計器で計測した重量と、目測の容積値から換算によって計算された重量を使って計算されます。そして、処理業者さんにおけるリサイクル率は、個別のお客様ごとに計量して算出する率と、処理業者さん全体(すべてのお客さん合算)で算出する率が存在します。処理の工程がライン化されている場合、個別のお客様だけに限定してラインを稼働させ、出てきたものを計測することはほとんど不可能ですので、後者の率を採用することが多くなります。

サーキュラーエコノミーへの第一歩は現在地を知ること。さて、皆さまの会社、家庭のリサイクル率は何%ですか?    

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