【挑戦者たち】まさか、ここまで叩かれるとは…

2018/4/14
4月1日の配信で多くの反響を呼んだ、新時代の起業リアリティショー「メイクマネー 起業家グランプリ2018」。賞金1000万円をかけた戦いを終えた挑戦者たちのインタビューをお届けします。
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唯一の強制退場
これほど長く感じた2分間があっただろうか。
ここまで厳しい反応は想定外だった。
NewsPicksオールスターズ6人の視線は痛いほど冷たい。
齋藤暢儀のアイデアは「クラウドファイティング」。
自身の経験から「ビジネスの現場で横行する悪質なパクリをなんとかしたい」と温めてきたアイデアだった。
その思いとは裏腹に、審査員の冷ややかな視線と厳しい質問が彼を苦しめる。
SHOWROOM代表の前田裕二氏が最後のボタンを押した瞬間、真っ赤に染まったスタジオ。
かくして齋藤は、今回の挑戦者の中で唯一の「強制退場者」として、その名を刻んだ。
齋藤暢儀(さいとう・のぶよし)。筑波大学大学院(感性認知脳科学専攻)でメディアアートを研究した後、チームラボに参加。チームラボでは、デジタルサイネージ式自動販売機の企画・開発に携わった。
「ホリエモンにボコボコにされた人」
──番組配信後の反響はいかがでしたか。
配信後に、東京ビックサイトのイベントに出かけたんです。
すると、知らない人から突然「NewsPicksで、ホリエモンにボコボコにされた人ですよね?」と声をかけられました。
番組の影響力に驚かされましたし、ちょっとした有名人になった気分です。
齋藤のプレゼンに険しい表情を浮かべる堀江貴文氏。この後、齋藤に対する集中砲火が。
──それにしても、厳しい戦いでしたね。
プレゼン開始早々、堀江さんから送られる不穏な視線に気づいて「これはやばいぞ」と思いました。
過激なアイデアであることは自覚していましたが、あそこまで叩かれるとはさすがに思っていませんでした。
クラウドファイティングに込めた思い
──クラウドファイティングのキャッチコピーは「アイデア守り隊」でした。
「クラウドファイティング」は、①個人のアイデアが誰かにパクられていないかどうかをネット上で監視する。
②パクリに対して「LIKE」ではなく「HATE」を集めて、その数に応じた罰金を科す。
③罰金さえ支払えば、パクリが認められるというもので、アイデアの発案者をみんなで守ろうという趣旨でした。
──パクリを撲滅したかった?
パクリを100パーセント否定するつもりはなかったんです。
真似から生まれる価値もあると思いますから。
ただ、小さなスタートアップのアイデアが大企業にそのままトレースされてしまうとか、そういうことってあるじゃないですか。そこをなんとかしたかったんです。
ただ、あの日の僕のプレゼンには、大事な前提が抜け落ちていました。
ビジネスはアートに近づいていく?
──抜け落ちていた「大事な前提」とは?
僕は大学時代から一貫して、メディアアートやデザインを研究してきました。
だから今もクリエイターやアーティストの立場で物事を考えています。
その上で、最近考えているのが「ビジネスが今後、アートに近づいていくのではないか」ということです。
──ビジネスがアートに近づく??
僕たちの生活に必要なものって、これまでのビジネスによって、ほとんど出尽くしていると思うんです。
スマホとコンビニがあれば、最低限の生活を送ることができます。
こうなってくると、ビジネスの評価が「私たちの生活に必要か、必要でないか」というものから、「応援したいか、共感できるか」という軸に移行していくのではないかと考えています。
──齋藤さんは、ビジネスマンではなくアーティストとして、パクリの深刻さを訴えたかったと。
そうです。音楽って人間が最低限の生活をするために必要なものではないけど、聴けば心が満たされますよね。
ある作曲家の楽曲がパクられた場合は、けしからんとなるじゃないですか。
ビジネスでも今後、同じことが起こり得るのではないかと。
──だとすれば、その前提からプレゼンすべきだったかもしれないですね。
とてもじゃないけど、2分間じゃ無理ですよ(笑)。
起業家やビジネスマンとしてではなく、アーティストとしてプレゼンしに来ていることが伝えられたら、少しは違ったかもしれませんね。
審査員の中で「もう聞きたくないボタン」を最後に押した前田裕二氏。
リスペクトを可視化したい
──最後のボタンを押した前田裕二さんは「下げ合う文化は嫌いです」と言いました。
そこは、前田さんのおっしゃる通りです。
下げ合うことなく、アイデアを最初に発想した人やカタチにした人への「リスペクトを可視化する」仕組みがあればといいなと思います。
具体的な方法はまだ思いつきませんが、そんな世界を実現したいと思います。
1000万円以上の価値がある
──次回以降の「メイクマネー」でリベンジはお考えですか。
もちろん、また挑戦しますよ。ただし、クラウドファイティングは一旦寝かせます。
次は、プロダクトやサービスをリリースした上で挑戦したいと思います。
──番組に挑戦しようかどうか迷っている人に、唯一の強制退場者としてアドバイスを。
堀江さんにボコボコにされるということ自体、得難い経験ですし、審査員の後ろにいる視聴者の皆さんにプレゼンできるだけでも、1000万円以上の価値があると思います。
あの場所に立てただけで、僕としては大きな自信につながりました。
だから迷ってるくらいなら、まずは挑戦してみればいいと思います。
最後に一つだけ
──正直なところ、齋藤さんのメンタルを心配していたので、今回のインタビューで少し安心しました。
「メイクマネー」に出られて本当に良かったと思っています。
やはり自分はビジネスマンではなく、これからもクリエイター・アーティストとしてやっていくぞって、吹っ切れたところもあります。
あと、番組に一つだけお願いがあります。
──何でしょう?
次回から、あの椅子が動くスピードをもう少し早くしてほしいです。
強制退場の時、会場に晒されるあの時間が一番きつかったので(笑)。
「メイクマネー」挑戦者へのインタビュー記事は、4月の毎週土曜・日曜に公開します。
<取材:安岡大輔、デザイン:片山亜弥、写真撮影:鈴木大喜>