2023/3/30

【就活】「進路選び」のモヤモヤが晴れる、5つのアドバイス

就活の相談をする相手がいない──。
入学当初よりコロナ禍が続き、縦の交友関係を結ぶことが難しかった24卒の学生は、特にそのことに悩んでいるのではないでしょうか。
NewsPicksは今、【#教えて編集部】【#教えてプロピッカー】のハッシュタグ付きでいただいたコメントに、専門家が返信する企画を展開しています(詳細はこちら)。
今回は、2月に行った就活生向けイベント「OUTPUT CAMP For Students」で募った就職相談に対して、新卒採用に詳しいプロピッカー3人が答えた座談会をレポートします。
就活のアドバイスだけでなく、キャリア形成についてのお悩みにも本音で回答してくれた3人の考えを、ぜひ参考にしてみてください。
INDEX
  • 相談に乗ってくれたプロピッカー
  • 【1】やりたいことと出会う方法
  • 【2】会社との相性を見極めるコツ
  • 【3】将来起業したい人の就職論
  • 【4】いきなり副業はアリかナシか
  • 【5】就活で「生きた情報」を得る策
  • 引き続きお悩み、ご質問を受付中

相談に乗ってくれたプロピッカー

【1】やりたいことと出会う方法

石田:そもそも就活生になったタイミングでやりたいことが定まっている人は、あまりいないのではないでしょうか。
私自身も就活に悩み、就職氷河期だったこともあって、300社もの採用に応募した経験があります。やりたい仕事が見つからなくて悩む気持ちはよく分かります。
ですが、たくさんの会社の面接を受けているうちに、自分に合った会社の特徴がつかめてきました。現時点でやりたいことがなくても、就活を通して見つけていけばいいと思います。
──石田さんにとって、自分に合う仕事とはどのようなものですか?
石田:興味を引かれて、ワクワクするものです。
そのため、自分が心躍ることは「なぜ」楽しいのか、「どのように」取り組みたいのかというポイントを言語化して、探していきました。
Photo:iStock / z_wei
最終的に私は、与えられた仕事やタスクだけをこなすのではなく、主体的に意思決定をする機会が多いような環境でないと夢中になれないと感じたので、若手のうちから裁量権があって、意思決定経験がたくさん積めるサイバーエージェントに入社を決めました。
──安田さんは就活前にやりたかったことはありましたか?
安田:私も特にしたいことはありませんでした。
個人的には、就活でどこに入社するかよりも、入社してからいかに経験を積むかが大切だと思っています。
社会人になっても、仕事の悩みや葛藤は尽きることはありません。でも、チャレンジゲートは複数開かれています。
だから就活中は直感が働く職種に、まずアタックしてみたらいいんじゃないでしょうか。
Photo:iStock / takasuu
それに、早いうちから戦略的にキャリアを考えていても、その通りに会社や業界が成長するとは限りません。
​​私は30年前に新卒で西友に就職しましたが、その後、親会社だったセゾングループが実質的に解体することになり、西友自体も米ウォルマートの傘下になるなんて考えてもいませんでした。
──直感で最初のキャリアを選択するのは怖くありませんか?
安田:全然。
意外と、直感には具体的な根拠と、あなた自身の行動特性が表れるものです。ぜひ自分の直感を信じてあげてください。
もしそれでも不安なら、やりたくない仕事を避けるというのも一つの切り口です。みんなはできるけど、自分は何となくやる気が出ないことってありますよね。
「積極的消去法」は、前向きな考え方ですよ。
──福田さんは、やりたいことを見極めて就活YouTuberを始めたのですか?
福田:実はそうではなくて。
最初はヒカキンさんみたいなエンタメ路線を目指して、大食いやメントスコーラの動画をYouTubeに投稿していました。
だけど、登録者数が本当に増えなかったんです。1年間、毎日投稿したのに、登録者数はたった800人。
そこから路線変更して、若い自分の立場が武器になる「就活」をテーマに情報発信しているのは、戦略的な理由です。
Photo:iStock / alzay
今もこれからも、「就活」というテーマだけに縛られる気はありません。その時々で何が一番ウケるかを調べて、試行錯誤をして、行き着いた先で頑張ろうと思っています。
昨年からインドの就活生向けチャンネルを運営しているのも、まだあり方を模索しているからです。
ただ、結果が出ると仕事が楽しくなってくるというのは、肌で感じていることでもあります。
やりたいことだけをがむしゃらに探すより、目の前の仕事に全力で取り組んで、先にできることを身に付けるというプロセスでもいいんじゃないかと。
──「やりたいことはあるのですが、斜陽業種で不安があります」という学生からの声もあります。そのことに対してはどう思いますか?
安田:成長産業のほうが、挑戦できるチャンスが多いのは確かに事実です。しかし、斜陽産業には斜陽産業の学びがあります。
「こうやって業績の数字が落ちていくんだ」とか、「こうトンチンカンな策が出されていくんだ」みたいに、傾いていく時の独特な感じを学んでおくことは、長いキャリアではプラスに働くはずです。
私自身、いくつかの会社でこういった経験をしてきました。
わざわざ斜陽産業を選ぶ必要はないですが、行きたいなら気負わず飛び込んでみたらいいと思います。

【2】会社との相性を見極めるコツ

福田:僕が就活をしていた時は、自分と社員全体の価値観が近いかどうかを見ていましたね。
どんな業界のどんな仕事に就いても、個々の仕事はさほど変わらないと思うんです。でも何を考えて、どこを目指して働いているかは、会社によって大きく異なります。
だから、自分とビジョンが重なる環境がいいと考えていました。
──福田さんはどのような軸を持って働いているのですか?
福田:幸せに働くために、大事にしているポイントが3つあります。
1つ目は「主体的な行動ができる」こと。2つ目は「仕事に夢中になれる」こと。3つ目は「昨日より成長できる」ことです。
YouTubeで「しゅんダイアリー」を始めていなかったら、この3つの価値観が合うベンチャー企業に入っていたと思います。ベンチャーなら上司ガチャも少ないですし。
──石田さんも、価値観が近い人が多い職場のほうがいいと思いますか?
石田:そうですね。福田さんがお話しされていたように、価値観の近い人が多い環境は自分のポテンシャルを発揮する場所として最適です。
しかし、自分と似た人が少ない会社も、それはそれでチャンスになると私は思います。
ダイバーシティが叫ばれる今、同じようなバックグラウンド、同じような価値観、同じような属性ではない人たちの集合体にこそ価値が生まれ、新しい発想や企画、アイデアにもつながります。
Photo:iStock / snpolus
──では、石田さんはどのように就職先を選びましたか?
石田: 社員の目を見て判断していたように思います。仕事を楽しんでいる人が多い会社か、社員がイキイキと働いている会社かどうかが重要だと思ったからです。
社会人になったら、苦手だったりやりたくない仕事を任されることもあります。
でもその仕事も、捉え方によっては、先のキャリアの足掛かりに変えられますよね。
だから結局は、目の前の仕事に意義や意味を見いだし、自分のやりがいや成長とリンクさせられる社員が多いかを見ていたのかもしれません。
──安田さんは、就職先を選ぶ時にどこを見ればいいと思いますか?
安田:面接官から、会社全体の雰囲気を感じることは大切です。
昔は面接といえば人事が担当していましたが、最近は現場の人間も増えていますよね。だから「自分がこの会社で働いたら、この人みたいになるんだ!」というロールモデルを見つけやすくなったと思うんですね。
もし自分がキャリアを重ねて面接官になった時、圧迫面接をするような人間になっていたら、ガッカリすると思いませんか?
なので、嫌な面接官がいる会社には絶対に入らないほうがいいんです。

【3】将来起業したい人の就職論

福田:独立したいなら、絶対に今すぐ起業して、起業家同士のコミュニティをつくることがベストです。
でももし勇気が出ないのならば、一般論かもしれませんが、卒業生の多くが独立して、なおかつ成功している会社を選ぶというのがベターではないでしょうか。
安田:福田さんが考える基準で会社を選ぶとなると、今はサイバーエージェントですね。
私は現在独立していますが、会社員時代に学んだことは役立っていると感じています。ビジネスマナーや、事業の回し方を押さえられるというだけでもメリットがあります。
何より働いているうちに、自分はBtoCの小売が好きだと分かりました。
最近は福田さんのように、学生から直接起業した人もたくさん成功していますから、どちらの道を選択してもいいと思います。
Photo:iStock / ValleraTo
──石田さんは、独立を考えている就活生はどのように会社を選べばいいと思いますか?
石田: どの会社というよりも、いち早く経営経験が積めるところがいいのではないでしょうか。
大企業でゼロからキャリアを積むとなると、当たり前ですが経営にかかわるまでに時間がかかります。
将来的に独立をしたいという気持ちが強いのであれば、ファーストキャリアとしてどのような環境で、どのような経験やスキルをまず積むべきかを逆算して考えたほうがいいと思います。
あと、レアケースかもしれませんが、会社に所属しながら子会社を経営するという選択もあります。私は、サイバーエージェントの100%子会社という形で、2社の代表を経験しました。
どちらもクローズするという残念な結果になってしまいましたが、今は人事の立場として、サイバーエージェントに経営経験を還元することができています。

【4】いきなり副業はアリかナシか

福田:時代に逆行しているかもしれませんが、僕は副業否定派です。
二兎を追う者は一兎をも得ずと言います。まずは一点集中で、本業で成果を残してから副業を考えてほしい。
それに、スキルがない段階で副業を始めても、アルバイトの延長にしかならないんじゃないかなと思ってしまいます。
僕もまずは目の前のチャンネル運営をひたむきに頑張ったから、今があると思っていますから。
Photo:iStock / takasuu
それに正社員8人のベンチャー企業の社長としては、社員みんなに副業を始められたら正直リソース的にキツイという面もあります(笑)。
1日8時間本業に費やすのならば、そちらを優先してほしいというのが正直な気持ちです。
安田:ベンチャー社長として、とても正直な回答ですね。
福田さんの話を踏まえて言うと、副業を解禁したほうが社員の生産性が上がるか否かは、会社のフェーズによっても左右されるんじゃないでしょうか。
福田さんが率いるDiaryはスタートアップだから、社員が全力投球しなければいけない時期。でも成熟して落ち着いてきた会社では、社員が副業をして外から得たインスピレーションがプラスに働くことも多くあります。
私自身、副業を経験することで知見を広めることができたし、それは本業でも役立ちました。
Photo:iStock / guoya
だから過重労働と秘密保護がクリアできるなら、私は副業を前提に就活してもいいと思います。
──会社のフェーズによって副業のアリ・ナシが変わるんですね。石田さんも副業推奨ですか?
石田:はい。サイバーエージェントは業務に支障をきたさない範囲で副業はOKになっていますし、私も副業は前向きに捉えています。
個人的に思っているのは、一見仕事に関係ない経験も、役立つことがあるということです。
例えば私は今、仕事と子育てと両方に奮闘していますが、子育てを通して得た経験や学びは、実は仕事でのマネジメントにも生きています。
個々人が自分のやりたいことや身に付けたいことに向き合って、副業などでスキルアップ・キャリアアップを図っていけば、間接的かもしれませんが、本業にも新しい風を吹かせられるはずです。

【5】就活で「生きた情報」を得る策

安田:求人サイトや社員クチコミ掲載サイトなど、最近だとたくさんの情報があふれていますよね。でもそんな今だからこそ、人と生で会うことを大切にするといいのではと思います。
だからもしもう一回就活をするとしたら、とにかく人と会って、ビジネスの流れを学びますね。
コロナになって縁を広げることは難しくなったでしょうが、新しいコミュニティはどんどん増えています。実際に足を動かしながら、自分がかかわりたいプロダクトを探していってほしいです。
石田:私も安田さんと同じで、自分の目で人を見て判断したらいいと考えています。
特に近年では就労型のインターンシップが広がり、内部の雰囲気がかなり分かるようになってきました。実際に働いてみて、自分の目で見て自分の足でつかんだ情報を活用しながら就活を進めていってもらえるといいと思います。
福田:個人的には、発信前提で情報を仕入れてみることは、インプットの質が上がるのでいいと思います。
発信するといっても、僕みたいにYouTubeやSNSをフル活用する必要は必ずしもありません。「友人や家族に伝えてみよう」と考えながら、ライトに始めてみてください。
またTwitterやInstagram全盛期の今にあえて、Facebookを本気でやってみるのもプラスです。
大学生でFacebookをやってる人はあまりいませんし、OB訪問のアポも専用アプリより取りやすい印象があります。
Photo:iStock / P. Kijsanayothin
──学生がFacebookを使う時の必勝法みたいなものはありますか?
福田:2つあります。
1つは文章でのやりとりにしても対面でのやりとりにしても、相手の貴重な時間をいただいたことを認識しておくということ。
もう1つは自分も何かをお返しする姿勢を見せることです。
お返しといっても高いプレゼントとかではなくて。学ばせていただいた内容を添えて、感謝のメッセージを送るだけでいいんです。
──それは学生が今すぐまねできそうですね
福田:そうですね。起業もFacebookも、やろうと思ったのなら即行動してみてください。

引き続きお悩み、ご質問を受付中

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