ホリエモンと考える「食イノベーション」

2017/11/13

居酒屋が独り負け

日本が世界屈指の競争力を誇る分野。その一つが「食」だ。
世界広しといえども、日本ほど、バラエティに富んだ食が、高品質かつ低価格で提供される国はないだろう。
ただし、日本の「食」にはビジネス面での課題も多い。
その筆頭に挙がるのが、利益率の低さだ。
串カツ田中、鳥貴族、ドトールコーヒーなど営業利益率が5%を上回る企業もあるが、多くの飲食店は低利益率にあえいでいる。それは食品を扱うスーパーも同様だ。
低利益率の背景にあるのは、単価の低さだ。外食産業は、参入障壁が低く、次から次に強力なライバルが現れるだけに、うまく差別化しないと価格競争に陥ってしまう。
日本における「食のデフレ化」は今も続いている。
国内の外食市場の規模は拡大しているが、家計調査のデータを見ると、支出が増加しているのは、喫茶、そば・うどん、中華そばといった低単価のものが中心だ。高単価のものはあまり消費が伸びていない。
中でも苦戦が目立つのが、ファーストフードと居酒屋だ。とくに居酒屋は“独り負け”と言ってもいい状態にある。
居酒屋不振の理由としては、若者の酒離れなど、さまざまな要因が考えられるが、無視できないのは、コンビニの存在だ。
(iStock/winhorse)
コンビニが、中食・外食、最近ではイートイン・焼き鳥を強化したことにより、これまで外食産業と別カテゴリーだったコンビニが、居酒屋のライバルになりつつある。

日本の「食」は世界で勝てるか

もうひとつの日本の「食」の課題は、海外展開である。
世界中で日本食の人気が上昇しているものの、まだ世界で稼げている日本企業は数えるほどだ。日本の「食」はクオリティこそ高いものの、経営、マーケティング、テクノロジーといった点では改善の余地が大きい。
価格競争にあえぐ国内市場にしろ、存在感が薄い海外市場にしろ、食産業のさらなる繁栄のためには、マーケティングとテクノロジーの活用が欠かせない。
本特集では、日本の「食」の課題と可能性を探るべく、「食のマーケティング」をテーマに、堀江貴文氏とネスレ日本の高岡浩三社長の対談を実施。
あわせて、「食とサイエンスとビジネス」をテーマに、堀江氏と、毎年約30ヵ国を食べ歩く「食べ歩きのプロ」である浜田岳文氏に語ってもらった。
第1回~第5回は、高岡社長と堀江氏が、「外食業界が直面する新しい現実」「コンビニの未来」「ファーストフード復活のカギ」「テクノロジーと食」「観光×食」などのテーマを、食業界で働く実務家の質問に答えながら、議論する。
【堀江貴文×ネスレ高岡】外食業界が直面する「新しい現実」
第6回~第7回は、堀江氏と浜田氏が、「和牛の大きな可能性」と「サイエンス化する食」などについて語り合う。
第8回~第10回では、米国の食ビジネスをフィーチャー。ウーバーイーツが変える「飲食店の生態系」を描くとともに、ニューヨーク最高峰のフレンチシェフ、ジャン・ジョルジュ氏に、「インスタ活用法」や「日本食への驚き」などについて聞く。
日本の「食」は世界で勝つことができるのか。そのヒントを本特集で見つけてほしい。