東大3浪4留、花まる学習会を生んだ高濱正伸の必要な回り道

2018/1/6

メシが食える大人

メシが食える魅力的な大人を育てたい
「メシが食える魅力的な大人を育てたい」
そんな思いから、小学校低学年の子どもを対象にした地域塾「花まる学習会」を1993年に立ち上げて、今年で25年目を迎えます。

教育格差は社会の罪

格差が拡大しているからこそ、教育の機会均等を守る
お金がないから教育を受けるチャンスがないというのが、社会として一番罪深いことです。
バブル時代、牛乳配達の仕事をしていたときです。新聞のチラシに1億円をくだらないいわゆる“億ション”が、ずらーっと並んでいる。
何百年働いてもこのマンションを絶対買えない、おかしいじゃないかと思い至りました。

姉と弟にコンプレックス

積極的な生き方に変えた先生の「マジック」
2歳上に勉強がめちゃくちゃできる姉、2歳下にイケメンの弟がいて、勉強でも容姿でも引け目を感じながら育ちました。
最初の転機は、小学3年生のときに訪れました。

坊主頭になったら「人生終わり」

いじめに絶望、自虐ネタで乗り越える
小学校5年生になった途端、もう1つの転機が訪れました。
学校でいじめに遭ったんです。
中学生になって坊主頭になったら私は人生終わりだ。本気でそう思っていました。

母の懸命な姿

母親の生きざまが子どもに与える影響は大きい
母は中学を卒業して養成学校に入って准看護師の資格を取り、医師の父と結婚しました。
中卒ではコンプレックスがあるというので、高校卒業の資格を取るための勉強を一生懸命やっていた。
ああいう姿を見て育つと、勉強をちゃんとやらなきゃいけないと、何の迷いもなく思えます。

君は普通じゃない

自主的に勉強するようになった「先生の言葉」
「高濱、来い」と高野先生に呼ばれました。
「君は普通じゃない。ものすごい頭のいい人間だと思う。でも調子に乗るなよ」
これは私の人生の中で大きな出来事でした。

日記のススメ

もやもやした思いを吐き出す「秘密日記」のススメ
後ろの席にいた女の子が私の背中をトントンとたたきました。
「赤ちゃんなんだって?」
そのときの絶望的な気分と言ったら……。
もやもやした思いをすべて日記に吐き出しました。
そうすると、すっきりする。物事が整理され、自分の頭で考えられる。
これを体得すると、もう日記を書かずにはいられないんです。

東大進学まで3浪

東大3浪。パチンコ、女、マージャンにハマる
東京大学理科Ⅱ類へ進学するまでに3浪しました。
1浪、2浪のときは、パチンコと女とマージャンで一日が終わりました。
朝からパチンコ屋に並ぶのは当たり前。後輩に場所を取らせて、午前中はパチンコ屋に入り浸り。
午後からはジャン荘です。
そこへ彼女が来て、いろいろ楽しいことをする。

東大卒業まで4留

東大4留。感動を知ると、くだらないことをしなくなる
大学で4留もするなんて、考えてもいませんでした。
大学なんて通っている暇はなかったですよ。常に面白いことを追求していました。
私の経験上、心の底から震えるような体験をした人間は、くだらないことをしなくなります。
深い感動を知っていると、つまらないことをしたくないって思いますよ。

パニック障害が役に立つ

10カ国語を勉強、無理がたたってパニック障害に
無理しすぎたんでしょう。いわゆるパニック障害になってしまいました。
完全に起きなくなるまで、2年半かかりました。
今、考えるとそれもよかったと思えます。教育者として役に立ちました。

子ども相手の教育は最高

子どもの教育は最高。「マンマン」兄さんの感動体験
大学受験生を教える塾の講師をしていました。
転機になったのは、30歳を過ぎた頃、幼稚園児のお泊まり保育を実施しているキンダーという会社で始めたアルバイトです。
高校生を教えるのも楽しいけれど、小さい子を相手にするのはたまらなく最高。

就職面接で即社長

採用面接で企画書を提出、即社長に就任
履歴書だけでなく企画書も出したんです。そうしたら、即決でした。
「立ち上げた新会社の社長をお前がやるなら、うちでやってもいい」
おかげで私は、初めて就職したらもう社長に就くという考えられない形で、花まる学習会をスタートさせることになったのです。

「2つの思考力」を鍛える

メシが食える大人になる「2つの思考力」とは?
メシが食える大人になるために大切なのは、まず思考力です。
「なぞぺー」は、2つの力を鍛えるために開発したものだから、必ず受け入れられると思っていました。

障害を持つ息子に教わったこと

脳性まひの息子が教えてくれた「パートナー力」
息子は今年18歳になります。彼は脳性まひという障害を抱えて生まれてきました。
その息子のおかげで、私は人の見方、学力のあり方について、それまでの認識を改めることになりました。
(予告編構成:上田真緒、本編聞き手・構成:織田 篤、撮影:遠藤素子、バナーデザイン:今村 徹)