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世界を変える変革のデザイン：VCの信頼の創り方

フォロワー1093人

36本の記事

スタンフォード大学でのイノベーション研究をもとに、大きな成功を収めるために不可欠な「行動パターン」を考察します。

フィル・ウィックハム

SOZOベンチャーズ共同創業者

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スタンフォード大学でのイノベーション研究をもとに、大きな成功を収めるために不可欠な「行動パターン」を考察します。

フィル・ウィックハム

SOZOベンチャーズ共同創業者

最終話：日本が世界のイノベーションのハブになるために必要なこと

全体に公開・2023/11/17

このシリーズは今回で最終回となることを嬉しい（また寂しくもある）気持ちでお知らせします。合理的な区切りを迎え、わたしも読者の皆さんも次の段階に進むときが来ました。この一年、日本がいかにして世界のイノベーションのハブへと変貌を遂げることができるかというわたしのビジョンをお伝えしてきました。ここで一度連載を終了し、これまでの記事の内容を整理し、さらなる調査研究をして、書籍を出版したいと思います。わたしはこのシリーズで書いてきたようなことを実現させるために、できることをすべきという強い必要性と責任を感じています。この本は日本のために書きます。30年以上アメリカを離れ、わたしの第二の故郷となっている日本への感謝と愛着、そして日本の可能性を信じる気持ちを込めたものです。

ユニコーンに乗るスタートアップ投資

全体に公開・2023/10/27

日本はロンドンにあるAngular Venturesを設立したギル・ディブナーから学ぶべきことがたくさんあります。彼はイスラエルからスウェーデンまでの地域にある企業を投資対象としていますが、LP投資家にはアメリカのファンドであると伝えています。彼がそうしている理由と方法について説明したいと思います。彼は投資プロセスで次の3つのことを押さえています。 1) 投資先企業はすべてアメリカのデラウェア州で登記されています。そのことでアメリカのベンチャーファンドからの資金調達をしやすくし、エグジットの選択肢を広げています。 2) 全企業が英語で会話し、読み書きします。それが共通言語となり、海外市場での展開がしやすくなります。

市場がパニック状態の時にポートフォリオを評価する方法

全体に公開・2023/10/06

今週は早速ですが、前回の記事で触れた重要なポイントについて深めていきたいと思います。わたしの懸念は、スタートアップの世界が今、必要以上にパニック状態に陥っているのではないかということです。それは非合理的であり、非常に有害なことです。先週説明したようにわたしたちは現在、業界の危機に面しているのではなく、ごく一般的な「市場停止」の状態にあるのです。この一時停止はその都度固有のものですが、インフレ、企業業績、地政学などの不安定さという基本的な要素が組み合わさって起こるものです。わたしが特に伝えたいことは、市場が停止しているときにも、起業家、ベンチャー投資家、LP投資家が生産的に対応する方法はあるということです。その方法として、Sozoベンチャーズでどのようにポートフォリオの状態を評価し、CEO（起業家）に対する適切な支援を行っているのかをご紹介します。特に起業家への支援の在り方については、日本のエコシステムのイノベーションリーダーに知ってほしいことです。

日本の会計制度の問題

全体に公開・2023/09/30

わたしはこの3週間ヨーロッパを旅していて、シリコンバレーに戻ってきたばかりです。いくつかのビジネス関連の活動があったので完全にリラックスしていたわけではありませんが、わたしの心は、カリフォルニアにいるときのVCの世界に囚われた状態からは解き放たれていました。先週の記事のように、ヨーロッパに行くと何百年も昔のことについて想像力を掻き立てられ、さらにこの先100年の人類の進化の可能性を思い描く刺激にもなります。旅の終盤に差し掛かりバルセロナ（肉料理好きには最高のところですが、豚にとっては最悪な場所かもしれません）を訪れた頃に、わたしは再びベンチャー業界のメディア報道を追い始め、同僚との旅の途中の会話を振り返ったり、仕事のパートナーたちからポートフォリオ内の企業や投資家との詳細なやり取りについての情報を得たりしました。その結果、わたしに聞こえてきた重要なテーマは「パニック」でした。ベンチャーの世界は「パニック」の状態にあるのです。

東京の文化的大爆発

全体に公開・2023/09/22

この2週間、わたしはコロナ禍以来久しぶりにヨーロッパを訪れていました。シエナで行われた同僚の結婚式に参列することが主な目的でしたが、以前からルネサンスの中心地であるフィレンツェを見たいと思っていたので、この旅を特別に楽しみにしていました。そのため、わたしはフィレンツェに宿泊し、結婚式の開催場所のシエナまで一時間かけて通うことにしました。わたしはよくシリコンバレーを訪れる来客や友人たちに、これほど多くの並外れた天才や才能あふれる変人たちをカリフォルニアへと誘ったものは何だったのか、と聞かれます。それに対し、わたしはよく「フィレンツェはどうでしょうか？ルネサンス期に才能ある多くの人々がフィレンツェを目指したのはなぜでしょうか？」という質問を返します。

サーファー・サーフボード・波：スタートアップの成功のために最も重要なもの

全体に公開・2023/09/16

マーク・ヘローはスタートアップのCEOを支援する世界でも指折りのコーチです。わたしのスタンフォード大学のキャピタル・フォーメーション（資本形成）の授業でも、定期的にゲスト講師として登壇しています。彼は今年の授業で、学生に「スタートアップの成功にとって最も重要な要素は、サーファー、サーフボード、波のどれでしょうか？」という問いかけをしました。このメタファーでは「サーファー」は起業家であり、「サーフボード」は技術、「波」は新興市場のことを指します。（ぜひあなたも読み進める前に自分だったら何と答えるかを考えてみてください。）この問いに対し、学生たちの答えはちょうど3等分になりました。しかし、マークは断然「波」が成功を予測する最も重要な要素であると確信していました。これにはわたしも驚きました。わたしは「サーファー」つまりCEOが最も重要だと思っていたのです。

「恐怖」は失敗を回避するためのツール

全体に公開・2023/09/07

先週の記事で、Floodgateのアン・ミウラ・コー氏とミシガン大学の北山忍氏の考えに触発され、わたしたちは「変人」の世界に一歩足を踏み入れました。具体的にはアンの「日本はよりうまくイノベーションを促進するために『変人』を受け入れるべき」という発言を掘り下げました。「変人」とは、深い情熱をもち、目的の実現のために戦う意志があり、従来の工業社会であれば失敗とされることも恐れずに新しいことに挑戦する人たちです。また北山先生は幅広い研究を行い、ある人々は安全策をとろうとし、もう一方では奇抜な方法をとる人がいる理由を脳神経科学の視点で明らかにしました。スタンフォード大学の授業では、常に次の2つの葛藤の中で行動が生まれるのだと教えます。１）深い自己認識に基づき前に進もうとする力、２）無意識の恐れやそれらに気づき処理する力の不足による抑止力の2つです。

最高に優秀な変人たちを求めて

全体に公開・2023/09/01

2023年7月25日にSozoベンチャーズが日本のイノベーションの促進をテーマに、科学技術振興機構（JST）と共催したシンポジウムで、わたしはシード投資を行うFloodgateの共同創設者であるアン・ミウラ・コー氏にインタビューしました。アンは Lyft、Chegg、Emotiveへの初期段階の投資をリードし、Forbes誌のマイダス・リストでよく世界上位100のVC投資家にも選ばれています。彼女は日系アメリカ人の二世で、子どもの頃は金沢の祖母の家で夏を過ごしたそうです。アンはイェール大学を卒業後、スタンフォード大学でコンピューターサイエンスの博士号を取得しました。アンはわたしがシリコンバレーで出会った中で最も大胆な思考をします。彼女との会話には多くの洞察やアドバイスがちりばめられていました。次週以降もその内容を紹介したいと思いますが、今回は登壇した専門家たち全員に尋ねた「イノベーターは生まれつきのものなのか、それとも訓練してなれるのか」という質問への彼女の答えを取り上げたいと思います。

権威を動揺させる

全体に公開・2023/08/24

前回の記事では、2023年7月25日にSozoベンチャーズがスタンフォード大学で科学技術振興機構（JST）と行ったシンポジウムでの重要な論点を紹介しました。その中で、登壇した世界のトップクラスの専門家たちが、こうしたシンポジウムにありがちなテクノロジーや金融の話ではなく、イノベーションの世界でいかに迅速で継続的な学びが重要であるかを語ったことが、多くの日本人参加者に驚きを与えていたことをお伝えしました。特に工業社会における政府や業界の専門家がスタートアップの環境に身を置いたときにこのようなことが起こります。スタートアップの世界では、ルールや方法論が根本的に違うのです。以前の記事で、マーガレット・ウィートリーの書籍を引用した通り、ニュートン力学と量子力学のように全く異なるのです。

学習を加速させることによって生き残る

全体に公開・2023/08/11

2023年7月25日、Sozoベンチャーズはスタンフォード大学で、科学技術振興機構（JST）とセミナーを共催しました。その目的は、テクノロジーの事業化、特に国が投資している基礎研究の事業化に関するベストプラクティスを明らかにすることでした。先週の記事でもお伝えしましたが、Sozoベンチャーズの役割は、科学者、ベンチャー投資家、優れたアクセラレーターや育成の仕組みを構築した人、起業を研究している研究者など、この分野で最も優れた専門家を集めることでした。また、Sozoベンチャーズのメンバーが終日ファシリテーションを行い、各発表の議題や論点の整理を行いました。わたしたちはイベントの直後に、参加した政府関係者からたくさんのポジティブなフィードバックをもらいました。そして多くの人が、当日の議題や専門家たちの話の内容への驚きを口にしていました。

2023年7月25日、スタンフォード大学に集まった世界的な投資家たち

全体に公開・2023/08/04

2023年の2月にSozoベンチャーズは、科学技術振興機構（JST）からあるイベントの開催依頼を受けました。医療、材料科学といったディープテックで世界をリードする日本の基礎研究を事業化するための戦略について議論するための場です。経済の再生を目指す日本にとって、基礎研究の可能性を開花させることは非常に興味深い課題でありチャンスでもあります。そして、2023年7月25日、スタンフォード大学が毎年開催しているカンファレンスの最終日に、丸一日この重要なテーマについて議論を行うことになりました。JSTとSozoのチームが当日の議題の公正をデザインするときに、わたしはシンプルな問いを考えてもらうようにしました。

能力を解き放つ世界最先端の新しい「学び方」

全体に公開・2023/07/21

このシリーズでも繰り返し伝えてきましたが、日本は今まさに、大きな商業イノベーションの波が起きる寸前だと思います。東京には世界の最も優秀な起業家を惹きつける重要な要素（QOL、企業のバイヤー、高水準の教育を受けた人材、優れた技術など）がそろっています。実際にSozoベンチャーズが支援したPlay.co、 Callback、Needの3社のCEOは本社をアメリカから東京に移しました。そして東京を拠点に世界展開の野望を実現させようとしています。この20年でロンドン、ニューヨーク、シンガポール、ベルリンがそれぞれの地域のスタートアップのシーンを発展させることで、世界中から優秀な人材を惹きつけたのと同じように、この流れで行けば東京でもこの傾向は続くでしょう。

世界一多くのスタートアップを生み出したアクセラレーター「StartX」の天才

全体に公開・2023/07/14

先週の記事では、InSITE Fellowsという素晴らしいプラットフォームの話をしました。InSITEは、20年前に、ニューヨークで起業家を支援する仕組みが不足していることに不満を抱いたコロンビア大学のMBAの学生によって設立されました。そして、InSITE はニューヨークがその後、活況を呈する「シリコン・アレー（Silicon Alley）」へと発展する大きなきっかけとなりました。これは、日本にとっても、貴重な学びとなるでしょう。当時のニューヨークは今の日本と同じようにスタートアップの領域が未熟でしたが、多様で洗練された経済がありました。ニューヨークはその強みを生かしてスタートアップ分野でも躍進することができたのです。

「人に教える」ということ

全体に公開・2023/07/07

1995年、インターネットブラウザの先駆けであるNetscape社が時価総額30億ドルで上場し、それをきっかけにインターネット関連企業の株式公開が相次ぎました。1996年には e-Trade、Checkpoint、Infoseek、LycosがIPOを果たし、市場が急成長を遂げました。 1990年代後半には、ニューヨークがITイノベーションブームにとっての金融や投資銀行の中心地となりました。しかしコロンビア大学のMBAの学生だったポール・トムポウスキーは、イノベーション物語の終幕である株式公開に関する仕事をするのでは飽き足らないと思っていました。彼と彼の友人たちは、アイデアの誕生から関わりたかったのです。最も挑戦しがいがあり、ワクワクする瞬間に立ち会いたかったのです。

ハードでエキサイティングな日本の選択肢

全体に公開・2023/06/27

わたしとSozoベンチャーズの同僚たちは「日本は明治維新以来、ほぼ一貫して世界経済の中で主要な位置におり、非常に強く、活気に満ちた、独特の文化をもつ国である」と信じています。日本は教育水準が高く、勤勉で、秩序があり、正確な仕事が常に実行されています。それ故、工業社会の経済では40年以上も支配的な地位を維持してきました。巨大な工業社会である一方で、わたしたちは日本の新たな経済力、世界における新たな成功の可能性を見出しています。国外のイノベーターにとって、他では見つけられないワクワクするようなリソースが豊富にあるのです。しかし、強固な工業社会の秩序を維持し育む文化がイノベーションを殺してしまいます。会社人間を世間の羨望の的にするようなルールが、地域のイノベーターを潰してしまうのです。

日本を信じる理由

全体に公開・2023/06/23

最近、TechCrunchとニューヨーク・タイムズで、日本経済の将来性を称賛する記事が出ました。とても興味深い記事でした。それらの記事では、日本経済がようやく競争力のある成長率を維持する兆しを見せ、アジアで米中関係の緊張が高まる中、日本がリスクが少ない国として他の国の代わりに選ばれていると説明しています。ニューヨーク・タイムズの記事では、企業や社会の規範が緩和されていることが成長の原動力になっていると述べています。そのような楽観的な見方は、今年になってウォーレン・バフェットが、驚くべきことに3年前から日本の商社に投資し、それがうまくいっていると公表したことがもとになっています。ニューヨーク・タイムズの記事では、こうした動向が日本のイノベーションの将来性に期待できる強い理由になると主張しています。わたしは以前より日本のイノベーションの未来を信じており、創業したSozoベンチャーズはその可能性に対する期待を元にして創業しています。

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