【解説】意外と知らない?ロシア貿易停止を巡る3つの視点
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輸出入で直接扱っている商品の金額が小さいから、影響は小さい、ということにはなりません。
「肥料の三要素」として窒素、リン酸、カリウムがあります。カリウムの生産シェアでは、1位はカナダですが、2位はロシア、3位はベラルーシです。ロシアとベラルーシで世界の生産シェアの30%を占めます。
もしカリウムの流通が減ることで、肥料の生産量自体が世界中で減れば、世界各地で農業生産が減るでしょう。農産物の価格が全般的に上がります。
十分な流通量を確保できたとしても、カリウムの価格上昇は避けられず、肥料の価格は上昇し、農産物の価格に加算されるでしょう。
日本が輸入しているカリウムはほとんどカナダからですが、輸入価格は上がるでしょう。世界各地から輸入している小麦などの農産物も値上がりするでしょう。
トウモロコシの輸出国としては、ロシアは世界4位、ウクライナは世界7位です。飼料としてのトウモロコシの流通が減って価格が上がれば、畜産製品の価格に加算されます。
原材料が値上がりすれば、製品の価格に次々に波及して、加算されていきます。
原材料が不足し、生産可能量が限られるようになれば、製品はなおさら値上がりします。
全ての産業に使われるエネルギーの源である石油と天然ガスが値上がりすれば、その波及効果はずっと広いといえます。
そういう波及効果の計算は、大変複雑で、貿易の取引額だけで判断できるものではないです。
肥料に使われる塩化カリウムの市場規模は、世界全部合わせても2億ドル程度のものです。しかし、もし流通が途絶えれば、その波及効果は非常に大きなものになります。今から8年ほど前だったか、大企業の幹部と懇談する場で聞いたことは「昔は楽だった」。
松下幸之助翁の「水道哲学」よろしく、海外から原油や鉱物など資源がタダ同様で輸入できた。しかも、かつての中国は「眠れるトラ」のように産業発展が遅れ、産業競争ではライバルではなかった。
ゲームに例えると、「イージーモード」。弾薬(資源)は有り余り、数少ない敵(欧米企業)を無双できたそうです。
2000年以降、状況が一変しました。中国が「世界の工場」として台頭し、手ごわい競合相手となりました。同時に、資源価格が上昇し、原材料の調達コストが急上昇。一気に難易度「ハード」でビジネスをプレイするようになったそうです。
その当時、中国のほか、ロシアやブラジル、インド、南アフリカなどは成長著しい新興国として「BRISC」と喧伝されました。特に、経済の混乱が続いたロシアは、資源価格の高騰が起死回生の一助となったと認識しております。
ただし、資源オンリーの国は経済停滞しました。
そうした経緯を踏まえ、資源大国として成長してきたものの、工業国としてはイケてない(?)とされている、日本とロシアの交易の「切り口」を整理しました。ニッケルで間接的にぶん殴られてます。
以下先週からちまちまwebで検索してたお話
・ニッケルの需要の70%はステンレスなどの鉄鋼製品原料。
(自分はこれで困ってる)
・ニッケル鉱は大別して硫化鉱と酸化鉱がある。
主たる算出国はインドネシア、フィリピン、ニューカレドニア、ロシア、カナダなど。ロシアは全体の約1割いかないくらいのシェアで硫化鉱メイン。
・硫化鉱からは特殊鋼原料用の地金や電池材料や触媒用途の硫酸ニッケル、酸化ニッケルなどの中間製品を。
酸化鉱からは一般的なステンレス材原料のフェロニッケルやニッケル銑鉄などを生産。
・日本は当然ながら鉱石は全量輸入。ただしプライマリーニッケル(フェロニッケル、地金、硫酸ニッケル、酸化ニッケル等の主たる中間製品)の生産量はロシア、カナダと同等。中国やインドネシアの2割程度だけど…。
・日本のニッケル鉱石輸入先はほっとんどフィリピンかニューカレドニア、割合は半々くらい。
・ロシアからは地金製品輸入はあるけどごく少量
ほんで先週にLMEでのニッケル取引ストップ
→鋼材メーカー/(^o^)\
→製品メーカー/(^o^)\
→ユーザー/(^o^)\
資源に詳しいおにーさんおねーさんのツッコミ待ってます。