2022/3/2

【社長の素顔】東芝新トップ、島田太郎はこんな人だ

NewsPicks ジャーナリスト
東芝の新社長に島田太郎氏が就任した。
島田氏は「プロピッカー」であり、NewsPicks編集部としても何度もインタビューに登場した人物だ。
ドイツのシーメンス幹部として製造業のデジタル革命に取り組んでいた2018年、「火中の栗を拾う」覚悟で東芝に入社。
3月1日に開いた社長就任会見では、「東芝に来てまだ3年ですが、東芝とそこで働く皆さんが大好きです」と公言した。
東芝は前途多難だ。2015年の不正会計を機に経営危機に陥り、ヘルスケア事業などあまたの事業を手放してきた。最近も空調事業の売却を決めるなど、終わりの見えない事業再編に「縮小均衡」の懸念もくすぶる。
そうした懸念を払しょくするかのように、過去のNewsPicksインタビューにて、こう宣言した。
東芝が輝くのはまさにこれから。僕の読みが正しいかどうかは、これからの成長で示すしかない
先日の報道に対するコメントでも「本命」「真打ち」の登場とも称される島田氏は、どんな人物なのか。そして、東芝をどのように変革していくのか。NewsPicksのこれまでの取材を踏まえて、浮き彫りにする。
INDEX
  • デジタルが分かる社長
  • 既に「セカンド・ライフ」
  • 東芝はウィキペディアたれ
  • 短期主義との対話
  • 東芝文化を死守する

デジタルが分かる社長

島田氏は社長就任会見で、自身を「東芝で初めて『デジタルが分かる社長』」だとした。
島田氏は1990年に新明和工業に入社し、航空機開発に10年ほど従事した後、米国ソフトウエア会社に転職。のちにドイツを代表するシーメンスに買収され、そこで活躍することに。
シーメンスでは、東芝が経験することを先取りする形になった。
過去にシーメンスは家電や電子部品などの事業を売却し、ガス・電力事業を分社化。多くの事業を外に切り出す代わりに、ソフト会社を矢継ぎ早に買収。ハードの企業から、産業のデジタル化を支援する「ソフト会社」へと変貌しつつある。
これこそが、東芝が目指している姿なのだ。