2021/8/6

【ダイキン会長】不透明な時代こそ、「年上の部下」を大切にせよ

NewsPicks ジャーナリスト
空調業界で世界トップ企業に君臨するダイキン工業。1994年、現会長の井上礼之氏が社長に就任した時、売上高は3800億円の中堅企業に過ぎなかった。
以降、目覚ましい海外事業の拡大によって、1割以下だった海外売上高比率を8割にまで高め、2021年度の売上高は2.8兆円と、1994年度比7倍となる見込みだ。

第4話は、まさに井上氏が社長に就任した1994年。社長就任当初の経営のかじ取りは難しい。にもかかわらず、会社は赤字、周囲の役員も年上ばかり。しかし、「人たらし」の井上氏の真骨頂は、むしろこうした場面で生きる。(全7回)
井上礼之(Noriyuki Inoue)。1935年生まれ。1957年大阪金属工業(現ダイキン工業)入社。1975年同社最年少部長として人事部長。1979年取締役、1994年社長、2002年より会長。

「叱る」極意

1994年3月、社長交代の記者会見に出席しました。
緊張のあまり、何を発言したかあまり覚えていませんが、座右の銘を聞かれたので、他人への思いやりを意味する「(じょ)」と答えました。