(ブルームバーグ): トランプ米政権は、中国の為替操作国認定を解除した。同国が人民元切り下げを行わないという「実行可能なコミットメント」を行ったほか、為替のデータ公表に同意したためだと説明した。

米財務省が13日、議会に半期に一度の為替報告書を提出した。それによると、報告書の対象とする20の国・地域のうち、為替操作を認定した国・地域はなかった。また報告書の対象国のうち、より警戒が必要な「監視対象国」に新たにスイスを追加。中国、日本、韓国、ドイツ、イタリア、アイルランド、シンガポール、マレーシア、ベトナムが引き続き監視対象国に指定された。

事情に詳しい複数の関係者によれば、第1段階の米中貿易合意署名の調印式はワシントン時間15日午前11時半(日本時間16日午前1時半)にホワイトハウスのイーストルームで行われる。

ムニューシン財務長官は13日の声明で、「中国は透明性と説明責任を推進しながら、競争的な通貨切り下げを行わないという実行可能な公約をした」と説明した。

45ページから成る為替報告書によると、中国の公約は第1段階の米中貿易合意の一環として行われた。米国は昨年8月、中国が「自国通貨切り下げの具体的な措置を講じた」として同国を為替操作国と認定。それ以来、両国は交渉を続けてきた。

ブルームバーグはこの日これより先に、米財務省が中国の為替操作国認定を解除すると報じていた。これを受け、人民元は6カ月ぶり高値を付けた。

為替報告書は人民銀が昨年、介入を「ほとんど手控えたようだ」と指摘した。同報告書は昨年10月中旬に公表される予定だったが、米中の貿易交渉が続く中、先延ばしされていた。

為替操作の有無を判断する基準は3つあり、1つは対米経常黒字が国内総生産(GDP)比2%以上。残る2つは自国通貨のための為替市場への持続的介入と、200億ドル(約2兆2000億円)以上の対米貿易黒字だ。これら3つの基準のうち2つに抵触すると認定された国が、監視対象国に指定される。

為替報告書は、4月に公表予定の次回の報告書でアイルランドが監視対象国から外される可能性があるとした。またタイと台湾は監視対象国・地域とされなかったが、主要基準の抵触に近づいているとした。

原題:U.S. Drops China As Currency Manipulator Ahead of Trade Deal (1)(抜粋)

(3段落目に貿易合意調印式に関する情報などを追加して更新します.)

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