【アシックス社長】シューズのデジタル革命で勝つ

2019/12/26
いよいよ東京オリンピック・パラリンピックの年、2020年を迎える。2020年はシューズ業界にデジタル革命の波が訪れる年にもなりそうだ。運動中の身体データを活用し、その人に最適なトレーニング方法を提供するサービスが実現しつつあるからだ。
何歳になっても健康と気力を保つことが欠かせない人生100年時代において、スポーツの重要性は増している。だからこそ、アップルやグーグルも、スマートフォンやスマートウォッチを通じて、この分野に注力している。
今回、NewsPicks編集部は、スポーツシューズで世界的大手の一社、アシックスの廣田康人社長COO(最高執行責任者)にインタビュー。廣田氏自身も3時間53分のフルマラソン完走記録を持つ「社長兼ランナー」だ。
2020年代、シューズはどう進化し、アシックスというシューズメーカーはどんな企業に変貌するのか、廣田氏に直撃した。
──2019年のアシックスは、デジタル分野への投資を加速させた印象があります。2020年も同様の流れですか。
廣田 2020年はまず、1月初旬に開かれるCES(米ラスベガスで開催される先端エレクトロニクスの展示会)に出展します。
当社がCESに出展するのは実質、初めてです。
──元々、家電の見本市だったCESには自動車メーカーの出展が相次いでいますが、ついにシューズメーカーまでもが出展する時代になったと。
CESにはデジタル分野で活躍している人が多く訪れますからね。
当社にとって目下の課題はセンシングです。どこにセンサーを入れてデータを取るか。シューズにセンサーを入れるなら衝撃に耐えられなければいけないし、センサーをシューズから取り外せるようにするかどうかという問題もあります。
もはや自動車の展示会の様相を呈しているCES (写真:VW Pics/GettyImages)
こうした問題は、もはや我々だけでは解決できないので、オープンイノベーションという形でいろんな会社とやっていきます。
それもあって、CESに出ることにしました。
当社は海外含めて100万人以上の足型データを持っているんです。お客さんがシューズを買うときに足型まで計測しているシューズメーカーってそんなにいないですからね。それだけ膨大な足型データに基づいて開発をやってきたわけです。