クリエイティブ思考の邪魔16リスト

「クリエイティブ思考」の邪魔16リスト#15

多様性がないのはいけません

2015/6/15

クリエイティブな考え方に必要なのは多様性です。多様性とは、性別や国籍、人種などにとらわれず、さまざまな人材がいるチームのことです。なぜ、多様性かというと、いつもと違う視点を自分に取り入れることで、チーム全体で弱みを補えるからです。

2007年から日本で売れ始めたネットブック(Intel Atom CPU搭載ノートPC)というものがありました。ネットブックはもともと、機能を絞ることで価格を抑え、主にネットの閲覧を目的に新興国用に準備された製品でした。

日本人の誰もが日本での投入にためらっていたところ、台湾人の女性がこう切り出しました。「日本人はパソコンのどこに一番、時間を消費しているのか?」と。ネットを目的にパソコン利用している人が多かった結果、インフラ環境が整っている日本が、最もネットブックを販売できたのです。

多様性のあるチームは、異なる視点を得られる機会を増やします。

たとえば、ネットブックを普及させたエイサーでは、各国の責任者は、必ず異なる視点を持つ人を選んでいました。米国の責任者はオーストラリア人。オーストラリアの責任者はシンガポール人。中国の責任者はイギリス人。日本の責任者は台湾人という具合に。

以下の3つはただのジョークですが、国籍が違うだけでまったく異なる視点を得られることがわかるジョークです。(参照『世界反米ジョーク集』中央公論新社)

Made in Japanの最新PCが発売された。テレビCMではこう宣伝された。このPCを使えば、あなたの仕事は半分になります。それを聞いていたイタリア人がボソリとこうつぶやいた。明日、このPCを2台買おう

質問1:なぜ日本のオフィスでは、静かにしなければならないのか? 答え:みんなが仕事に集中し、没頭しているから。質問2:なぜイタリアのオフィスでは、静かにしなければならないのか? 答え:みんなが寝ているから

あるとき、日本人と中国人が殴り合いの喧嘩をしていた。やがて警察がやってきて仲介に入った。中国人が口を開いた。とにかく無茶苦茶な話なんですよ。中国人は続けた。そこの生意気な日本人が、私を殴り返してきたのが喧嘩の発端なんです

皆、同じような大学を出て、同じようなコンサルタント会社出身で、同じような視点で議論を繰り返すよりは、上のジョークのようにまったく予想もしなかった視点を得られる多様性があるほうが、強いチームをつくれます。

米国生まれの日系二世、齋藤ウィリアム浩幸さんの著書『ザ・チーム 日本の一番大きな問題を解く』(日経BP社)の中でも、日本の組織に多様性が欠けていることを指摘していました。

クリエイティブ思考の邪魔リスト#15:「多様性がない」。多様性があるチームで仕事をすれば、新しい視点を引き出しやすくなります。多様性あるチームをつくるための最適なバランスは、50%の混合タイプ、25%の独創的タイプ、15%のみんなに合わせるタイプ、10%の細かいことにこだわるタイプ、がいいようです(参照:ハーバード・ビジネス・レビュー誌の記事「To Drive Creativity, Add Some Conformity」)。

<連載「『クリエイティブ思考』の邪魔16リスト」概要>
学術書的な高度な専門学ではなく、日ごろの実務に基づく体験をもとに「クリエイティブ思考の邪魔16リスト(16回やるから)」と題して、16の異なる視点から邪魔するものを毎週月曜日に紹介しています。次回(最終回)は、「クリエイティブ思考の邪魔リスト#16は『8割で実行に移せ!』」です。
【過去の記事はこちら】
#1:「俺はクリエイティブではない」と思ってはいけません
#2:自己ブランディングに罪悪感を持ってはいけません
#3:昨日と同じことをやっても生き残れない
#4:規則に従い、思考停止状態に陥ってはいけません
#5:多様な人材で異なる能力をうまく組み合わせるべし
#6:働きすぎて「100%仕事人間」になってはいけません
#7:リズムがない中で思うがままに過ごしてはいけません
#8:「集中」を分散させてはいけません
#9:「英語は不要」と思ってはいけません
#10:「制約はないほうがいい」とは限りません
#11:「ギーク=変わっていて好きになれない人」ではありません
#12:五十歩百歩では「驚き」がありません
#13:惰性に流される毎日を積み重ねてはいけません
#14:自分の強みを知らないままではいけません