RPGは「ロマンティック」?——知られざるロマンス史を紐解く⓵
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RPGの一大源流は「ロマンス」にあり。いえ、恋愛の話ではありません。「ロマンス」とは西洋中世において人気を博した文学的ジャンルの一つ。それは小説(「ノヴェル」)が主流となる以前の呼び名で、かつての隆盛を極めたエンタメ・ストーリーでした。現在、その中心的養分はポップカルチャーの中に流れ込み、RPGはその領域の一つのように思います。では、RPGに継承される「ロマンティック」とはどのようなものでしょうか。以後数回に分け、「ロマンス」なるもののルーツと性質、そして発展について考えてみます。
RPGとロマンスの関係、といわれてもピンとこないかもしれません。RPGでロマンスといえば、当時のスクウェアで『FF』シリーズと並び、ゲームボーイ初のRPG『サ・ガ』シリーズ(1989年、第一作『魔界塔士Sa・Ga』)、そしてスーパーファミコン用ソフトとして『ロマンシング サ・ガ』 (Romancing Sa・Ga, 1992年)という作品がありました。得体のしれない二文字のカタカナ(これは中世北欧の散文物語を指す)はさらに「ロマンシング」がのっかることで魔力を増し、いつしか「ロマサガ」なる愛称で親しまれるように。この「ロマンシング」は当時どういったニュアンスで理解されていたのでしょう。