2024/4/24

【株急落】BTS所属企業で内紛。「NewJeans」独立騒動に発展

阿部 沙耶香

谷口 健

人気音楽グループ・BTS（防弾少年団）が所属する韓国の芸能事務所最大手HYBE（ハイブ）で、「内紛」が勃発している。

これを受けて、HYBEの株価は、4月22日に前日比で7.6％の急落を記録し、4月23日も1.2%の下落で、続落中だ。

K-POPの新時代を作っているHYBEは、企業価値がすでに1兆円に達している。この1兆円事務所でいま一体何が起きているのか。

INDEX

• 1️⃣ 主役は敏腕プロデューサー
• 2️⃣「ILLITはコピーだ」
• 3️⃣ マルチレーベルが「裏目」
• 3️⃣ 今後の「4つのシナリオ」

1️⃣ 主役は敏腕プロデューサー

今回の騒動の主役は、HYBEの幹部で、敏腕プロデューサーのミン・ヒジン氏だ。

彼女は、かつて4大事務所の一角・SMエンターテインメントに所属し、SHINee（シャイニー）やEXO（エクソ）、Red Velvet（レッドベルベット） などのコンセプトメイキングやアートディレクションを手がけてきた。

View this post on Instagram

A post shared by MINHEEJIN (@min.hee.jin)

📍4大事務所と主な所属アーティスト
・SMエンターテインメント
　　BoA、東方神起、少女時代、NCT
・YGエンターテインメント
　　BIGBANG、BLACKPINK
・JYPエンターテインメント
　　TWICE、Stray Kids、NiziU
・HYBE
　　BTS、LE SSERAFIM

ミン・ヒジン氏は2019年、HYBEにヘッドハンティングされる形で入社。HYBE本体では、「CBO（チーフ・ブランド・オフィサー）」の肩書で幹部となった。

コメント

注目のコメント

• Ricky Lee

  Biz.目線でK-POP解説

  ・

  2024年04月24日

  NewsPicksさんの取材に協力させていただきました。
  今回の「ADOR騒動」に関して真っ先に感じるのは、ミン・ヒジンがADOR代表取締役のビジネスパーソンであることよりも、クリエイター・アーティストである自分を優先したということです。確かに、SMエンタからつづく実績からも、プロデューサーとして実力があるのは明らかなのですが、HYBEから80%の出資を受けた企業の代表として、大株主であるHYBEの株主価値を守る必要もあったと思います。
  もちろん、ミン・ヒジンのコピー主張に関して一定の理解はできるものの、コピーかどうかは主観的判断となるため、一概に判断が難しいところでもあります。
  一方、そんなミン・ヒジンをコントロールできていなかった、HYBEにも責任はあります。マルチレーベル体制についての意識統一ができていなかった面もありますし、「内輪揉め」でよかったものを内部監査情報を漏らして大事にしてしまったことについて、支持できかねるところです。
  ミン・ヒジンの強硬姿勢を見る限り、ミン・ヒジン解任説が有力かと思いますが、HYBEの企業価値、株主価値、そしてアーティストを考えると、全てにとって良いのは「和解」です。K-POP一強とまで言われるようになったHYBE……。その舵取りに世界が注目しています。
• 阿部 沙耶香

  NewsPicks編集部 映像ディレクター

  ・

  2024年04月24日

  K-POPは特に「コンセプト」が重視される文化があります。NewJeansを始め多くのアイドルは「コンセプトありき」でメンバーが決まり、「コンセプトに沿ったアイドル像」を体現する必要があります。Perfumeに憧れても、AKBの方向性でデビューするかもしれない…それでもチャンスを掴むためにコンセプトを自分のものにするのがK-POPアイドルなのです。
  
  「コンセプトの天才」と言われ業界で活躍してきたのがミン・ヒジン氏。楽曲も世界観も「これまでのK-POPとは違う」ことを重視してNewJeansを作り上げました。K-POPおなじみのラップパートもない、ボディコンシャスな衣装も着ない、キレのある振り付けよりメンバー同士の楽しそうな雰囲気を重視する、、など。NewJeansヒットの要因に「他とは違う！」コンセプトがあったはずなのに、いつのまにか「NewJeansっぽい」ものが新たなK-POPトレンドになり始めたことに危機感を覚えた、というのがミン・ヒジン氏の声明文から読み解けました。
  「パクりかパクリじゃないか」という感情論にも見えますが、多様な個性を盤石な土台で支えるはずのHYBEのマルチレーベル体制が、成功体験のスピード量産のためにあるとしたら、様々な音楽でK-POPを楽しみたいファンとしては残念な気持ちです。何よりそこに巻き込まれるアイドルたちが気の毒でなりません。
  
  K-POP新時代を特集した記事をこのあと配信予定です。HYBEの世界戦略や事務所ごとの覇権争い、そしてベンチャー事務所の動きなど谷口記者と鋭意取材中です。引き続きお見逃しなく！
• 川端 隆史

  ジョーシス株式会社 シニアエコノミスト

  ・

  2024年04月24日

  こちらに韓国の主要証券会社のアナリストコメントがまとまっています。総じて、株価ないし業績の視点では短期的・限定的と分析しています。https://www.allkpop.com/article/2024/04/securities-analysts-talk-about-how-newjeans-departure-would-effect-hybe
  
  https://www.koreatimes.co.kr/www/biz/2024/04/126_373295.html
  
  2つ目の記事によるとAdorレーベルのHYBEの利益への貢献は11％とのこと。
  
  ある程度の存在感はあるが、HYBE全体が苦境に陥るほどではない、といったところでしょうか。ただ、悪い方にシナリオが動けば、企業イメージなどから11％を越える影響もあるかもしれませんが、この内紛によって他のレーベルやグループのファンの心理が離れる、ということはなさそうです。会社の内紛はそれはそれ、私の推しは推し、でしょうか。
  
  という経済的な視点のほかには、NewJeansメンバーのアーティストとしての活動に悪影響がないことを願うのみです。
  
  またHYBEの米ドルベースの時価総額の推移はこちら。他の主要事務所を大きく引き離していることは確か。
  https://companiesmarketcap.com/hybe/marketcap/