(ブルームバーグ): 米テスラの最高経営責任者(CEO)などを務めるイーロン・マスク氏は、自らが率いる医療ベンチャー「ニューラリンク」が、脳へのデバイスのインプラント(埋め込み)を最初の被験者に28日実施したと明らかにした。

マスク氏はX(旧ツイッター)への投稿で、被験者は「順調に回復している」とした上で、ニューロン(神経細胞)からのスパイク信号の初期の検出結果も「有望」との認識を示した。

ニューラリンクの脳インプラントは、外傷を負った人が思考だけでコンピューターを操作できるようにすることを目指す。米食品医薬品局(FDA)から人を対象に初の臨床試験の承認を得たと昨年5月に発表し、頸髄(けいずい)損傷や、筋萎縮性側索硬化症(ALS)が原因で四肢がまひする被験者を募集していた。

マスク氏によると、ニューラリンクの最初の製品名は「テレパシー」となりそうだ。「電話やコンピューターを通じて、考えるだけでほぼ全てのデバイスの制御が可能になる。四肢の機能を失った人が最初のユーザーになるだろう。(今は亡き車椅子の天才物理学者)スティーブン・ホーキング博士がスピードタイピストや競売人より速くやりとりできたらと想像してほしい。それが目標だ」と投稿した。

ニューラリンクが始めた最初の臨床試験は一般的に5人から10人が登録し、約6カ月を要する。順調に運べばフィージビリティースタディー、最終的に有効性と安全性を証明するピボタル試験を開始できる。

ブラックロック・ニューロテックやシンクロンがこの分野で先行し、ニューラリンクはそれ以上のことができると示す必要がある。

同社の顧問を務めるスタンフォード大学のジェイミー・ヘンダーソン教授(神経外科)は先週のインタビューで、進展があったとしても、脳インプラントの製品化が間近に迫っているわけではなく、「過剰宣伝の危険がある」と指摘。デバイスの承認はまだ何年も先の話だと語った。

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原題:Musk Says First Human Patient Has Received Brain Implant (2)(抜粋)

(専門家の見解などを追加して更新します)

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