2023/11/30

【新発見】実は「中間決算」がけっこう面白い

平岡 乾

ジャーナリスト

トヨタが営業利益4.5兆円に大幅上方修正、5大商社すべて上方修正...そのようなニュースを連日目にします。

決算といえば、1年間を総括した「通期」（多くは3月期）が一番注目されます。

ところが、実はこの11月にニュースになった中間決算（多くは4-9月期）にこそ、決算の醍醐味が詰まっています。

それは景気動向の変化であったり、実力のある企業とそうでない企業で違いであったり...

この変化のダイナミクスこそがビジネスパーソンである皆さんがビジネス理解力を高めるうえで重要なのです。

y-studio/iStock

もしかしたら読者の中には、すでに「中間決算は見逃せない」「中間決算が一番驚きがある」などと思っている人もいるでしょう。

あなたがその一人であれば、さらに高みを目指す時期に来ています。

そこで今回、中間決算で重要な2大テーマを紹介します。あなたのビジネス解像度がさらに高まるでしょう。

INDEX

• ゆく半年 くる半年
• 腐っても日本、苦境の欧中
• 減収減益でも「買い」
• 戦略よりも有言実行

コメント

注目のコメント

• 平岡 乾

  NewsPicks ジャーナリスト

  ・2023年11月30日

  部品のすゝめ──
  
  本文で書ききれなかったことをこちらで紹介します。
  
  実は、完成品/最終製品よりも、世界を知りたければ部品、装置、素材を手がける企業を見ると面白いことがわかります。
  
  今や、日本企業が世界で高いシェアを持つ完成品は自動車、バイク、カメラなどに限られています。スマホや家電などは一部の商品を除けば世界シェアは下がりました。
  
  （このほかには、ゲームコンテンツなどは今も日本が強いですね）
  
  一方、例えば、電子部品は村田、TDK、京セラ、太陽誘電、日本電産、ヒロセ電機などはワールドワイドに高いシェアを持っています。
  
  こうした企業の決算を見ると、製品分野ごとの景気がわかります。本文では書ききれなかったので、以下に整理しました↓
  
  ・スマホ、家電などコンシューマー製品は巣篭もり需要の大反動を受けて不調。2024年3月までの下期も市況低迷が続きそう
  
  ・半導体業界も悪い。生成AI向けの期待感はあるので半導体製造装置や半導体用素材などを手がける企業の株価は高い。ただし、期待先行が強く、業績面では当面厳しい
  
  ・一方、半導体不足が解消された自動車向けは堅調。期待のEV関連は想定以上のEV車両の価格下落圧力が厳しく、部品にも値下げ圧力が強まっている
  
  中間決算を通じて、毎年景気動向を見続けていけば
  3年程度である程度傾向がわかってきます。
  5,6年程度で景気には繰り返し（サイクル）があることが肌感覚でわかってきます。
  
  今年の半導体不況、スマホ・家電不況を見ると、やはり「宴（特需）」の後には、景気の谷（不況）が待っているのだなと改めて認識しています。
  
  皆さんも決算を通じて、自分ならではの分析力を身につけてください。
• 大澤 陽樹

  OpenWork 代表取締役社長

  ・2023年11月30日

  面白い内容でした。本旨とはずれるかもしれませんが、最後の方にあった『決算にナイスチャレンジはない』がグロース市場に身を置き、計画公表する立場としてはそのとおりだなぁと共感できる内容でした。
• S Hideaki

  製造業 Financial Planning Manager

  ・2023年11月30日

  業績予想や財務企画・分析を実務として担っていた経験を踏まえてコメントします。（企業それぞれで異なるとは思いますが）
  
  ①下記リンク先でもコメントしましたが、分析の基本は「比較」です。
  https://newspicks.com/news/8424939?ref=user_225356
  “その比較も「推移の比較」と「他社との比較」。
  「推移の比較」は、各社の動向（定性的な情報、ニュースとか）や外部要因（経済要因とか）と、財務数値の変化を紐付けて見ることにより、戦略の方向性とその結果や課題などをあぶり出す。
  他社との比較は強み・弱み、戦略・戦術の違いなどをあぶり出す（推移を含めてだが）。又、業界を超えた比較も価値あり。”
  
  ②業績見通しは基本保守的です。
  但し、抱えているリスク（上振れ/下振れ）とその規模感によっては、超保守的なのか普通に保守的なのか等々は変わってきます。記事にもある通り、大きく業績見通しを変える場合は適時開示が必要。非常に手間がかかるので、保守的と言ってもそれぞれです。
  
  そもそも事業が抱える変動要素（変数）は多岐に亘ります。決算実績から決算発表までのリードタイムを考えると、すべてのリスク要素を精緻に予測した見通しを出すのは不可能ですし、企業内でのロジック（というか空気・価値観）でスタンスも変わりますので、公表される見通しは“大きな流れ”として捉え、「なぜそういう見通しになるのか？」という視点で見て頂いた方が良いかと思います。
  
  そういう意味で、外部要因としての前提為替レートの設定はかなり気を使います。又、昨今は業績(PL)見通しのみならず、FCFやDebtなどの財政状態の見通しを合わせて公表する企業も増えているので、そこから業績見通し(PL)の実現可能性を想定したりした方が面白いと思います。もちろん、その際は①を踏まえなければ意味ありませんが。
  
  ③計画や目標と、業績見通しは本来別物
  手段が目的化するのと同様、見通しが目標化している感が否めません。
  記事でも若干混同されている感がありますし、ダイキンの「業績見通しは必達目標」という言葉からも垣間見えます。計画値を公表している企業ならば、本来は「計画や目標に対し、見通しは？」です。