2023/9/13

【最速解説】イーロン・マスク、壮大過ぎる「AIの野望」

NewsPicks NY支局長

合計95章。「超話題作」を最速紹介

毎日、この男の周りでは何かが起きている。
イーロン・マスク。彼ほど、世界中のテクノロジー、経済、そして政治・社会を騒がせている人物はいないだろう。
テスラのCEOであり、スペースXの創業者、そしてツイッターのオーナーとして、世界の人々の生き方に大きく影響を与えるイノベーションで称賛されたかと思えば、国内外の政治にも影響を与え、さらに取るに足らない「おバカな行動」でもネットをにぎわす。
逆にいえば、テクノロジーから言論、そして政治まで、現在の世界はマスク抜きで語れない状態になっている。
そんな「世界の最重要人物」の一人であるイーロン・マスクの半生を、本人への徹底取材を通じて明らかにした評伝『イーロン・マスク(上下)』(文藝春秋)が13日発売される。
伝記『スティーブ・ジョブズ』などで知られるウォルター・アイザックソンが手掛けたこの評伝は、父から虐待を受けた南アフリカでの幼少期から、波乱に満ちた恋愛、スペースXとテスラを築き上げたビジョナリーとしての成功、さらにツイッター買収の決断まで合計95章に上る重厚かつ濃密な物語となっている。
NewsPicksはそんな今年の最重要書籍の一つを、いち早く入手した。
ここでは、特に、今世界を揺るがすChatGPTを開発した「OpenAI」の創設から今後のAIをめぐる野望まで、マスクとAIをめぐる「知られざる事実」を日本最速で紹介していく。
INDEX
  • 合計95章。「超話題作」を最速紹介
  • OpenAI、壮絶な人間模様
  • テスラを「無双」にする最新AI
  • 「X.AI」の真の野望

OpenAI、壮絶な人間模様

「人類にとって、一番大きな存在の危機は、おそらく人工知能です」
かねてAIをめぐる「脅威論者」として知られるマスクが、声高にそれを唱え始めたのは2014年のことだった。MIT(マサチューセッツ工科大学)で開かれたイベントで、こう訴えたのがその始まりの一つだった。
その2年前、マスクはある人物に会っていた。