この連載について
国産EVで自動車市場を塗り替える中国事変が世界に衝撃を与えている。その火の手はアジアにも広がり出した。米国などもEV覇権戦略にかじを切る中、ニッポンのクルマの活路はどこにあるのかを描く
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トヨタ自動車株式会社(トヨタじどうしゃ、英語: Toyota Motor Corporation)は、日本の大手自動車メーカーである。通称「トヨタ」、英語表記「TOYOTA」、トヨタグループ内では「TMC」と略称される。豊田自動織機を源流とするトヨタグループの中核企業で、ダイハツ工業と日野自動車の親会社、SUBARUの筆頭株主である。TOPIX Core30の構成銘柄の一つ。 ウィキペディア
業種
自動車
時価総額
45.7 兆円
業績



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本田技研工業株式会社(ほんだぎけんこうぎょう、英称: Honda Motor Co., Ltd.)は、東京都港区に本社を置く日本の輸送機器及び機械工業メーカーであり、四輪車では、2015年度販売台数世界第7位、二輪車では、販売台数、売上規模とも世界首位で、船外機は販売台数世界第4位である。 ウィキペディア
時価総額
8.18 兆円
業績



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一見、好調に見える業績も為替の円安を除けば、手放しで喜べるレベルとは言えません。
ここからの巻き返しですが、商売にはゴールがあるわけではないので、今後のモーター車普及の流れの中で、奪われた市場シェアを取り返すチャンスはあります。
ただし、脅威なのは、テスラは言うに及ばずBYDほか新興メーカーの競争力が思いのほか強いことです。
「どこでも給油できる」内燃機関車のアドバンテージが、高速充電器の普及でハンデではなくなりつつあるバッテリー電気自動車。普及は確実に進みます。
先頭集団から離されてしまった日本ブランドですが、競合を凌駕する品質と価格の製品を短い時間で出せるのかどうか。厳しい局面に立たされていることは間違いありません。
ここで思い起こすのは日本のエレクトロニクス産業。いくつかの会社が自力再建できないほどの苦境に陥りました。しかも、その多くが、巨額の減損損失を出し、一瞬にして再建の可能性が閉ざされるくらいのスピードで。ピンピンコロリ(?)でした。
今、「自動車産業が危ない」というニュースが増えています。各社の業績が良いうちに猛烈な危機感を煽られることはよいことかもしれません。
ちなみに、製造業では空調のダイキン、タイヤのブリヂストン、建機のコマツなどグローバル企業があります。各社とも中国や韓国企業からの猛追を受け続けています。その中でも業績を伸ばしてきました。
やはり、いろんな事業を手がけている「総合」だと、数ある中の一事業がやられても、あまり危機感が醸成されないかもしれません。
一方、上記の3社のような「専業」企業は「海外企業に押されている」ことが丸裸になるので、危機感の度合いが10倍大きいことが健全に機能しているのと思います。
まず電動化についててすが、環境問題で仕方なくとか、日本車潰しが裏にありとかは、事態の上っ面でしかありません。そのような事がなかったとしても、技術が次の段階に進む上での必然的に起こるべくして起きる事なのです。
電動化によって内燃機関の呪縛を解かれた「乗り物」「移動体」がデザイン、形態の自由を獲得する。そして、移動が自動化される。これはAIを始めとした計算技術の発展によるものであり、いまの自動車技術だけを追ってもわからない。現時点で起きている自動車のEV化は原動機の置き換えだけで見た目や製造上の変化は殆どない。それがあと10年、さらに50年経つとどうなるかを考えてみると良い。見た目シンプルでありながら高度な技術が詰まり、モジュール化された設計と製造工程。
さらに、街の中の移動体は個別に独立して存在しているのではない。情報、エネルギーで相互に連結し、もちろん、製造から廃棄まで全体システム(システムオブシステムズ)の最適化がはかられた世界になる。
で、そこに向かう世界の中で、あなたはどこにいますか、何に貢献しますか?
最後にふれられていますが結局マクロ的に市場の中心がEVになった時に個別の企業は何で差別化していくのかという重要な議論がまだまだ不十分だと感じます。
紀元前中国の統一の歴史を扱っているキングダムでは、何十万人を操るたった1人の将軍が勝敗を決めることが描かれています。
何が結果正しい打ち手であったかは勝ってみないとわかりません。しかし、何の力もないスタートアップがなぜ巨人に立ち向かえるのか。
日本の大企業ほ、今の世界と闘うためには多くを背負い過ぎているように感じます。なぜ一民間企業が国を背負わなくてはいけないのか。そのキガイやよし、実際はリソースの無駄遣いです。チグハグだなと側から見ていて感じます。
どうなるかはわかりませんが、
事実、
1. 2022年の販売台数、トヨタは1048万台で世界首位となった一方、テスラは131万台にすぎません。
2. 時価総額はトヨタが40兆円、対してテスラは100兆円。
スタートアップにはFake it until make it (それを成し遂げるまで、あたかも達成しているように見せろ)という金言があります。
一所懸命やることは所与ですが、実態は強いのに、強いと思われていないことで実際に弱体化するというアベコベな状況は古今東西に溢れています。逆に、何も持ってないのに大成功する事例がそれと同じだけ生じます。
大企業が勝ち続けるためには、もう一段のリスクテイクが必要なように思います。それは、負けを早める可能性の覚悟をすることでもあります。
その後は大量生産、大量販売でアメリカのフォードとGMが20世紀の長期間にわたり王者に君臨し、20世紀末からは日本車、特にトヨタの時代になった。スタートダッシュで勝った企業が永遠に勝ち続けるわけではない。
テスラもBYDも最初のクルマを発売してからまだ15年しか経っておらず、量販メーカーになったのは数年前である。ここ数年だけを見て「彼らの時代が来る」と判断するのはまだ早いと思うし、日本メーカーにも挽回のチャンスはもちろんある。
ただし、足下のEVへの流れは100年以上続いたガソリン車の歴史を変えることは確か。トヨタも「100年に一度の変革期」と言っている。そして、テスラとBYDは雨後の筍のように出てきた他の新興EVメーカーとは全く違うかなり手強い会社。彼らの強みはハードだけでなくソフトウェアにもある。
ここ10年が本当の勝負。
EV化の動きに懐疑的な意見もあるが、「地球温暖化とCO2は関係ありませんでした。ごめんなさい」みたいにならない限りEV化は進む。火力発電が中心の日本はもはやマイノリティ。世界的には早晩再エネ発電が中心になる。そうなればやはりEVは地球にやさしい。少なくともその前提で将来を見ておかないといけない。
「マルチパスウェイ」と言ってきたトヨタも、佐藤新社長は就任直後に「我々の想定以上にEV化が進んでいる」との見解を示して、「EVファーストで取り組む」と宣言した。2030年のEV販売目標(350万台)は現行のハイブリッドの販売台数(200万台)を大きく上回る。
トヨタの考え方を正確に言えば「EVファースト with マルチパスウェイ」である。EVを最重視することとマルチパスウェイは対立概念ではない。ただしEV戦争で負けた会社は全体の戦争でも負ける。これはちゃんと理解しておかないといけない。
既存メーカーの足下の収益は今までのビジネスの延長線上のもの。EV化が進んだとはいえまだ新車市場の1割。残りの9割と周辺ビジネスで収益は出せる。
しかしこれからはプライドを捨て、挑戦者のつもりで戦わないといけないだろう。
厳しい戦いになりそうだが、私は日の丸自動車メーカーの底力を信じたい。
主力産業を失った時にどうするのか。EVもある程度やるのでしょうが、国を支えられるほどではなさそうです。
輸出でやっていけるほど資源もありませんし、工業分野がだめとなるとやはり観光業しかないのか。はたまた半導体が少しは盛り返すのか。
話は逸れましたが、日本以外がEVでは主力プレイヤーとなることに間違いはないとの見立てをしています。どんな見解を持ってどう将来に備えるのか、常に頭の片隅にはおいておきたいトピックです。
https://business.nikkei.com/atcl/NBD/19/special/01518/
なお、業績については販売台数が増えていることはポジティブだが、円安に支えられているところは大きい。特にトヨタについては、所在地別でみると、日本の営業利益率は13.7%ととても高いが、北米は3.0%。現地生産は重要だが、そこでの利益率は物足りない状況。円ベースでのコストは上がっても、円安によって円ベースでの販売価格がもっと上がることで、輸出利益が増えている状況。
ただ、研究開発や設備投資の原資ともなる。なので、この間にすでに発表した電動車シフトをどれだけ進められるかがキーだし、当然進めている。BEVが注目されるが、BYDはPHVも多く、昨年は全販売台数の半分。トヨタのHVも販売台数を伸ばしていることが記事から分かるが、足元の技術ポートフォリオはむしろ強い。BEVという長期で成長している部分について、相対的にモデル投入で後発になっているところを、ブランド含めた販売面の巻き返しをやりきれるか。
jetro.go.jp/biznews/2023/02/c8df911b77812c58.html