2023/8/6

【秘話】なぜアステラスは米国初「更年期薬」に成功したのか

NewsPicks 編集部(シリコンバレー支局長)
今年5月、画期的なニュースが飛び込んできた。
日本の製薬大手、アステラス製薬が開発した更年期障害向け治療薬「フェゾリネタント(Fezolinetant)」が、アメリカの食品医療品局(FDA)から承認を取得したのだ。
フェゾリネタントは更年期障害として表れる、ホットフラッシュ(ほてり・のぼせ)の治療薬だ。
これまではホルモン補充治療が主な治療薬だったが、今回は米国初の非ホルモン治療薬になり、副作用などから治療を敬遠してきた患者に新たな道を開くことになる。
アメリカの製品名はべオーザ(VEOZAH) 写真:アステラス製薬提供
アステラスがこの開発にこぎつけたきっかけは、2017年4月にベルギーのスタートアップ「オゲダ」を買収したところにさかのぼる。
オゲダは更年期障害の一つであるホットフラッシュに焦点を絞り、臨床開発を進めていた。しかし、小さなスタートアップにとってコストと時間がかかる臨床試験をくぐり抜けるのはとても難しい。
「オゲダは資金難に陥り瀕死の状態だった」
こう話すのは、アステラスのオゲダ買収に大きく関わったベルギーのベンチャー・キャピタリスト、アラン・パルトゥーンス氏だ。