【迫真】日産先代トップは、なぜものづくりの舞台に戻ったのか
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調達を、決まったものを安く買って来る仕事、と考えてはいけません。製造業の場合、すでに売られて出回っているものをありのまま買って来るのではなく(特に自動車、家電)、開発委託して、低コストで、高品質でつくってもらったものを買い付けるので、社外との取引とは言え、実質社内の仕事と同じです。したがって、調達部門には商品計画、開発計画等、製品になる、ずっと前からの情報ばかりでなく、コストを決める前提となる財務情報、将来の経営計画があります。生産革新、設備投資についても情報もあります。何でも御座れ、という職場で、そんな社員が集まっているところです。
調達のキーパーソンが転籍して大騒ぎになった自動車業界の事件は、30年ぐらい前に欧州GMの調達のトップがフォルクスワーゲンへ移り、機密情報がフォルクスワーゲンにもたらされたというのがありました。
調達がしっかり出来ることが、企業間競争の行方を決めるほど、たいへん重要です。
自動車のサプライヤー取材は難しい...閉じたピラミッドの中で、取引先が限られた(多くの場合、自動車メーカーほぼ一社)中で、事業活動をしているからです。
そのため、その自社が記事に載るだけで、取引先(親会社)から、睨まれるそうです。
ある会社では、「儲かっている印象を与えると、取引先からコストダウン要求がぶっ飛んでくるので、『儲かっていない』と書いてくれ」と、半ばジョーク、半ば本気で懇願されたことも。
まさにピラミッド型の閉じた構造の中での「下請け」の位置づけでした。
ちなみに、その中小企業の主要取引先は、ホンダ系サプライヤー。ちょうど昨日、ホンダが子会社の八代工業をインド資本企業に売却すると発表。すでに主要サプライヤーのケーヒンやショーワなどは、日立製作所との共同出資会社へと移管し統合。
10年前とは完全に異なる景色となりました。
中小企業の中には、自動車業界だけでなく、建設機械や半導体製造装置などの部品も受注した企業があります。
そうした企業経営者はなによりも、「複数の業界で取引することで、多様なビジネス慣行に触れられる。かつての常識が非常識だと分かるし、本当の自社の強みもわかる」と話していました。
個人のキャリア形成にも当てはまることだなと納得しながら聞いていました。
調達だけではない、会社経営そのものやキャリア形成にも通じるものがあると思いました。
これまでの体制や現状を保つことで安心安泰を得ようとする一方、変わり続けないと未来はないという危機感を、経営層だけではなく個人も持っています。
西川さんの言葉には、たくさんのヒントが詰め込まれていました。
「価値をつないで、いかにお客さんに届けて」
「業務を効率化・自動化できるため、浮いた時間で」「抜本的に見直すゆとりができる。」
「閉鎖型でピラミッド型」から「オープンなプラットフォームに変わっていくでしょう」
「何か作りたいものがあったときに」「業界の垣根を越えて、技術者が集まってくる。」
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