[シカゴ 3日 ロイター] - 米医薬品大手イーライリリーは3日、同社が開発したアルツハイマー病治療薬「ドナネマブ」の後期臨床試験で、ドナネマブを投与した患者は薬効のない偽の薬(プラセボ)を投与した患者に比べて認知機能の低下が35%抑えられたとの結果を発表した。ドナネマブは臨床試験での全ての目標を達成し、アルツハイマー病治療の第2の有効治療手段になるとの期待が高まっている。

この日のイーライリリーの株価は、取引開始直後に過去最高となる415ドルの過去最高値を記録した。

イーライリリーによると、アルツハイマー病の初期段階と診断された1182人を対象にした臨床試験で、投与を受けた人の認知機能の低下は、プラセボを投与された人と比べて35―36%遅らせることができた。効果がみられた対象患者は脳のスキャン画像でアミロイドたんぱくの脳内沈着とタウたんぱくが中間水準であることを示していた。

他にタウたんぱくが高水準だった552人の患者に実施した試験では、あまり効果がない可能性が高いことが示唆された。

これらの両方の患者を合わせたドナネマブの試験結果で、認知機能と日常生活を送るための活動を測定するためにイーライリリーが開発した基準で22%、より一般的な認知症進行の基準では29%、それぞれアルツハイマー病の進行を遅らせることが可能なのを示した。

アルツハイマー病協会のマリア・カリーヨ最高科学責任者は「今回のデータは、これまでのアルツハイマー病治療薬の第3相試験の結果としては最も強力だ」と評価している。