2023/2/5

【教えてプロピッカー】コーヒーは1日何杯まで?健康の大疑問

NewsPicks コミュニティチーム
この習慣は体に良い、あの食べ物は健康に良いetc......。
SNSや検索結果などで出てくるこのような健康の情報は、信用できるのでしょうか?
NewsPicksのコメント欄で読者の質問を募る「#教えて」シリーズ(詳細はこちら)。今回は、読者の皆さまから【#教えてプロピッカー】でいただいた健康にまつわる質問を深掘り解説していきます。
INDEX
  • 👀健康情報を賢く読み解くには?
  • ☕️カフェイン摂り過ぎの目安は?
  • 🔥基礎代謝と健康は関係ある?
  • 💊足りない栄養、サプリ補充はOK?
  • 次回は2/12【#教えて編集部】編

👀健康情報を賢く読み解くには?

今回取り上げるのは、1月24日に掲載した記事【コメント募集】 あなたは健康のために何してる?のコメント欄でいただいた質問です。

個別の解説をする前に、さまざまな形で流布する健康情報との賢い付き合い方を、プロピッカーでありNewsPicksトピックスで注目の医学論文を紹介している山田悠史さんに聞きました。
【1】「最新」や「肩書」に惑わされない
健康情報で最も信用できる情報ソースは、やはり研究論文です。ただ、現在は1日1万本レベルで出てきますし、その信用性もさまざまです。
例えば最新の医学論文の紹介記事で、マウスで行った研究しか書いていないものは、人間にも効果があるかは分かっていない可能性が高い。
最新の研究は医療の進化に必要不可欠なものの、効果や副作用がまだまだ分かっていない状態だと捉えるべきです。
(iStock / D-Keine)
メディアやSNSに出ている健康情報についても、「著名な大学の教授が言っていたから」「最新の研究だから」と盲信しないようにしましょう。
【2】情報を「束」として見る
書店に並んでいる健康本についても、正しい情報が載っていることのほうが少ないと捉えたほうがいいです。
私が新著の『健康の大疑問』を書くきっかけになったのは、昨年『最高の老後』という本を出版して書店を訪れた時、肌感覚として10冊中9冊くらいが「トンデモ健康本」だと感じたからです。
1人の意見や特定の情報ソースを盲信せず、複数の情報を「束」として眺めることが大切です。
【3】公的機関で「裏取り」をする
とはいえ、医療関係者以外の方々が、毎日忙しい中で「確からしい健康情報」を吟味するのは難しいと思います。
そんな時は、公的機関が出している情報を確認してみましょう。
例えば厚生労働省が新型コロナワクチンの情報を公式サイトに載せる時は、何人もの専門家が慎重に吟味し、言葉を選んでいます。だから間違いがないとは断言できませんが、間違っている可能性は低いはずです。
厚生労働省の「新型コロナワクチン」関連ページ
SNSで見かけた健康情報が気になったら、実践する前に裏を取ってみる。それくらい慎重に吟味する意識を持つのがいいでしょう。

☕️カフェイン摂り過ぎの目安は?

最初の質問は、日常的に愛飲している人も多いコーヒーやエナジードリンクについて。

実は大のコーヒー好きという山田さんに、「カフェイン」入り飲料との上手な付き合い方を解説してもらいます。
ご質問ありがとうございます。2010年に発表された論文などを参照すると、1日に摂取しても安全なカフェイン量は400mgとされています。
コーヒーに含まれるカフェインで言うと、一般的なコーヒーカップで3〜4杯までです。
これ以上飲み続けると、頭痛や動悸、手のふるえ、不眠、不安に襲われやすくなると言われています。
ただ、当然ながらこれには個人差があります。また、中高年になって男性ホルモンが変化し、前立腺肥大症になってしまった男性の場合、夜にカフェインを過剰摂取すると頻尿になってしまう可能性があります。
体質や年齢、状態によっても目安は変わるので、上で述べたような副作用に気をつけながら、適量を知るのが大切です。
コーヒー以外にも、緑茶はカフェイン含有量が多いので、飲み過ぎには気をつけましょう。
(iStock / SherSor)
なお、カフェインは体に入ってから効果が半減するまでに、だいたい4時間かかると言われています。眠れなくなるのを気にされる方は、寝る時間から逆算して、飲む時間帯を調整してみましょう。

🔥基礎代謝と健康は関係ある?

続いて紹介する質問は、よく聞く「代謝を上げると健康になる」という話の真偽について。

ここでは、白湯を飲む習慣やサウナの効用について、山田さんが解説します。
ご質問ありがとうございます。代謝を上げたいから白湯を飲むというお話ですが、実は「白湯を飲んだら健康になる」という医学的な研究結果は今のところ出ていません。
否定はできないけれど、肯定する根拠もないというのが正しい認識です。
白湯を飲むだけでなく、毎日お風呂に入る、サウナでととのう、などといった代謝にまつわる健康法も、「信じる者は救われる」かもしれないとしか(今は)言いようがありません。
これらを続けることで体調が良いと感じるなら、適度にやり続けてもいいでしょう。
(iStock / dogayusufdokdok)
ただ、気をつけたいのは、こういった健康神話に傾倒し過ぎることです。
サウナであれば、長時間入り続けていたら、当然脱水や熱中症の懸念があります。
健康に良いとされる運動も、プロアスリートレベルの強度でやり続けると、それ未満の強度の運動をする人と比べて、逆に死亡率が高くなるかもしれないと示唆する研究があります。
鳥居さんのご質問には「沸騰したものを冷まして飲むべきか、そうでもないか」とあるので、もしかすると特定の健康情報に傾倒し過ぎる一歩手前かもしれません。
健康に良いことかもまだ分からない何かに傾倒し過ぎると、それが健康につながっていると過信してしまい、健康にとって大切だと明らかになっていること(例:がん検診、予防接種など)を見落としたり、やらなくなってしまうという事例もあります。
何事も「やり過ぎ注意」ということです。

💊足りない栄養、サプリ補充はOK?

次は、日常生活で「手放せない」という人もいるであろうサプリメントについての質問です。

健康のため、美容のため、または筋トレの効果アップのため、さまざまな用途で売られているサプリとの賢い付き合い方は?
ご質問ありがとうございます。田中さんのコメントを全文読んで、とても健康的な生活をしているようですので、特に飲むべきと言えるようなサプリメントはないと思われます。
ビタミンサプリとの上手な付き合い方については、以前NewsPicksへ寄稿した内容を読んでいただけたらと思いますが(下の記事)、大切なのは
「足りなくなったらサプリで補う」
という基本です。
よほどの偏食であったり、特定の栄養素を吸収しにくくなる病気の方以外は、生きる上で必要な栄養素が著しく足りなくなることはありません。
正確に言うと、不足するほうが難しい
ですので、田中さん以外の読者の皆さんも、妊娠期など例外的な状況になった時に必要なサプリを摂取するのを考える、くらいがいいでしょう。詳しくは上の記事をご参照ください。
また、ここでも大切なのは過剰にならないことです。
例えば、ビタミンEを過剰に摂ると死亡リスクが上昇し(参考文献)、男性がビタミンCを過剰摂取すると尿路結石症のリスクが上がる(参考文献)とも報告されています。
市販のサプリは気軽に飲めてしまうので、飲み過ぎには気をつけましょう。

次回は2/12【#教えて編集部】編

NewsPicksは、これからも読者の「もっと知りたい」にお応えして参ります。
【#教えて編集部】【#教えてプロピッカー】でいただいたコメントには、全て目を通しておりますので、たくさんの「問い」をお寄せいただけたら幸いです。
また、問いに対する答えは1つではなく多様であるため、追加取材した記事の内容も1つの意見だということをご認識いただけましたら幸いです。