2022/12/8

【牧野正幸】日本の低い給料とSaaSの乱立は「関係」がある

HRテクノロジー業界の〝大物〟が再び動き始めた。
企業のバックオフィス部門が使うERP(統合基幹業務システム)を手がける旧ワークスアプリケーションズの創業者で、現在、2社目の起業となるパトスロゴスでCEO(最高経営責任者)を務める牧野正幸氏(59)だ。
牧野氏が率いていた旧ワークスアプリケーションズは、社運を賭けた新しいクラウド製品の開発の遅れやコストの増加が重荷となり、経営が急激に悪化した。
2019年6月に稼ぎ頭の人事部門は外資ファンドに売却され、現在は、Works Human Intelligenceとワークスアプリケーションズなどに分社された。創業者の牧野氏は、2019年10月に会社を離れた。
こうした中で、牧野氏がいよいよ2023年3月にサービスを開始するべく、具体的な戦略を発表した。
人事や会計などバックオフィス領域のSaaS(クラウド型ソフトウェア)が増える中で、大企業がそうしたSaaSをもっと簡単に導入できるように新たなプラットフォーム構想をぶち上げた。
この構想は、中堅・大手企業を対象に、給与管理からタレントマネジメント、勤怠管理、採用管理など多岐にわたるクラウド型ERPとなる。
企業のバックオフィスが抱える問題を知り尽くした牧野氏が、いま大企業が抱えている課題と、今後の構想をNewsPicksに語った。
INDEX
  • SaaS乱立とERP数社の「矛盾」
  • ヤフオクあるのに台頭したメルカリ
  • 人事・給与制度をもっとシンプルに
  • 「手当」を廃止して基本給を上げよ

SaaS乱立とERP数社の「矛盾」

──HR分野のSaaSが乱立しています。なぜこういうことが起きるのでしょうか。
牧野 大企業は統合型ERPを使って、人事や会計、勤怠管理、給与計算など全てのことを管理していますが、日本で販売されているプロダクトは、3〜4社くらいしかありません。