2022/1/7

【入門】半導体が分かれば、政治のニュースはもっと面白くなる

NewsPicks ジャーナリスト
半導体が作れない国は滅ぶ──。
「産業のコメ」と呼ばれ、産業発展の一翼を担ってきた半導体。今や「国家のコメ」となった。
半導体は、2030年までに2020年に対して2倍となる100兆円規模という超巨大マーケットへと成長するとされるだけに、その市場を制した国家は大いに繁栄するだろう。
加えて、半導体はクルマや家電だけでなく、インフラやサイバー攻撃など安全保障においても欠かせない。
それだけ重要なキーパーツであるにもかかわらず、最先端の半導体を作れるのは台湾など一部の地域だけに限られている。
ゆえに、半導体は「21世紀の原油」と呼ばれる希少資源。世界が国家ぐるみの半導体戦略を構築するに至っている。
そこで今回、2022年もホットなトピックである「半導体の地政学」を解説する。
INDEX
  • 国家のコメ
  • 21世紀の原油
  • 21世紀の産油国
  • 半導体は守護神
  • 日本の切り札
  • ゴールドラッシュの勝ち組

国家のコメ

釘(くぎ)がないために蹄鉄(ていてつ)が使えなくなり、馬も乗れなくなった。行き着いたのは、王国の滅亡だ。現代の蹄鉄の釘とは、半導体だ。
バイデン米大統領は、アメリカの半導体産業が負けたら、国家レベルで衰退するとの危機感を募らせる。
2021年2月、米国の産業強化にまつわる大統領令署名後に演説するバイデン大統領(写真:Pool/GettyImages)