2021/12/18

私たちが「陸上」でサーモンを育てる理由

NewsPicks 記者
東京発の高速バスで、木更津にある小さな山へ向かう。ビル群の景色が、いつの間にか林になっていく。
木々は紅葉し始め、紅と黄、緑が優しく調和していた。背の高いススキがゆさゆさと揺れている。バスを降りると、冷たく澄んだ空気が身体に入ってきた。
これから森林浴や紅葉狩りが始まりそうな雰囲気だが、筆者はそのためにこの小さな里山に来たのではない。サーモンの養殖事業者を取材しにきた。そう、美しい木々に囲まれたこの場所のどこかに、サーモンがいるのだ。
その養殖事業者の名はFRD。「陸上養殖」に取り組むベンチャー企業だ。
陸上養殖は、陸上の水槽で魚を育てるという新しい養殖方法だ。世界では、アメリカのアトランティックサファイアと、デンマークのデーニッシュサーモンがそれぞれ時価総額約480億円、約180億円と多額の資金を集めるほど注目を集めている。
FRDも、この分野のリーディングカンパニーの1社として知られる。

頭打ちの海面養殖