2021/10/17

【解説】真鍋博士の研究は、温暖化の予測にどう貢献したのか

NewsPicks 編集委員 / 科学ジャーナリスト
人間の影響による地球の温暖化は「疑う余地がない」。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第1作業部会は、今年8月にまとめた第6次報告書でそう断言した。
石油などの化石燃料を消費すると、二酸化炭素などの温室効果ガスが排出される。では、温室効果ガスが増えると、地表の気温はどの程度上がるのか。
それを予測するための理論的な枠組みを作ったのが、今年のノーベル物理学賞に選ばれた真鍋淑郎(しゅくろう)・米プリンストン大学上席気象研究員だ。
1960年代に発表された真鍋氏の研究成果は、IPCCの第1次報告書(1990年)に引用され、真鍋氏はその執筆者も務めた。
第6次報告書の執筆に携わった渡部雅浩・東京大学教授(気候力学)が、真鍋氏の業績とその意義を、エピソードを交えてわかりやすく解説する。
INDEX
  • 気候の問題は物理学で解く
  • 地球の気温を決める「二つのプロセス」
  • 「温暖化問題」をまだ誰も知らなかった
  • 真鍋氏の研究はどこがすごいのか
  • 温泉での鮮烈な出会い
  • 世界が「脱炭素」に舵を切った理由