2021/9/25

【週末に学ぶ】まずは、気候の「ナラティブ」を理解しよう

脱炭素、カーボンニュートラルにSDGs、ESG…。
今や環境をめぐる用語がメディア上での氾濫し、見ない日はなくなった。エネルギー業界だけでなく、金融、自動車、アパレルも含め、気候変動や環境、社会に対する取り組みも広がってきた。
それ自体は前進としつつ、「SDGsはファッションではない」と警鐘を鳴らす人物がいる。財務・金融、エネルギーのプロ、森暁彦氏だ。
森氏は、ゴールドマン・サックス証券の投資部門から、再エネ企業の雄レノバのCFOを経て、今はエネチェンジの社外取締役を務めながら、京都大学大学院で気候変動下での経営戦略を研究している。
まさに、金融からエネルギー、そしてサステナビリティ経営と、世界の環境をめぐる大きなシフトをいち早く捉えて歩んできた人物だ。
「まだ気候をめぐる世界のナラティブが日本では理解されていない」
NewPicksは、そう語る森氏に、気候変動と経済をめぐる筆者の新著『グリーン・ジャイアント』(文春新書)の発売に合わせ、インタビューを実施。世界の環境と経営をめぐる基礎をイチから伺った。
INDEX
  • ①SDGsの「ガラパゴス化」
  • ②VC、投資家が理解していないこと
  • ③「北欧の巨人」に学ぶこと
  • ④気候を学ぶ「オススメ3冊」
  • ⑤今、キラキラの業界とは

①SDGsの「ガラパゴス化」

──この1年で、気候変動をめぐる議論が日本でもようやく盛り上がり始めました。脱炭素やカーボンニュートラル、ESGなどの認知も徐々に進み始める一方で、SDGsなどの言葉が独り歩きしている側面もあります。森さんは日本の現状をどう捉えていますか。
 私が経営者の方々と話すとき、サステナビリティという「ナラティブ(大きな物語)」を理解しようとアドバイスしています。
特に、環境分野ではこういう順序で説明をすると、理解してもらえます。