2021/8/3

【ダイキン会長】今の時代こそ「人が基軸の経営」が重要だ

NewsPicks ジャーナリスト
空調業界で世界トップ企業に君臨するダイキン工業。1994年、現会長の井上礼之氏が社長に就任した時、売上高は3800億円の中堅企業に過ぎなかった。
以降、目覚ましい海外事業の拡大によって、1割以下だった海外売上高比率を8割にまで高め、2021年度の売上高は2.8兆円と、1994年度比7倍となる見込みだ。

多くの日本の大企業が伸び悩んできた過去30年で、むしろ飛躍を遂げたダイキン。30年近く率いてきた井上氏が貫く、「人を基軸においた経営」の神髄に迫る。(全7回)
井上礼之(Noriyuki Inoue)。1935年京都府生まれ。1957年現ダイキン工業(当時は大阪金属工業)入社。1975年に同社最年少部長として人事部長。1979年取締役、1994年社長、2002年会長兼CEO、2014年より現職。

赤字からのスタート

私が社長に就任し、経営者としての第一歩を踏み出してから、今年で27年になります。
社長就任以降、会社としての成長の活路を海外に求め、「事業のグローバル展開」に力を注いできました。
今や当社は、売上高約2兆5000億円の8割を海外で稼ぎ、グループ社員8万5,000人の8割が外国籍、日本を含めたグローバルの生産拠点は106カ所まで広がっています。
これほど急速にグローバル化が進んだ日本企業は多くはないのではないでしょうか。
かつて、終戦直後に3回ものリストラを繰り返し、「ボロキン」と揶揄された時代もありました。それを考えると、隔世の感があります。