2021/7/28

【盲点】CO2が足りない?ドライアイス不足はなぜ続くのか

NewsPicks ジャーナリスト
日本で、生活・産業用の二酸化炭素(CO2)が不足しているのはご存じだろうか。
ビールや清涼飲料水に使われる炭酸は、CO2が水中に溶解したものだ。さらには、CO2溶接などの産業分野でも欠かせない存在であり、ドライアイスの原料でもある。
特にドライアイスは、eコマース拡大によって冷凍・冷蔵品の宅配での利用が増えている中、不足が深刻になっている。
最近では、新型コロナウイルスのワクチンの低温輸送・管理に使うドライアイスの不足も懸念されている。
実はこの炭酸、石油化学プラントなどから排出されるCO2が供給源となっている。
ところが、近年、製油所などが閉鎖されたことで、炭酸の供給源が消失しつつあるのだ。
今後は、CO2排出を極力減らす低炭素社会に向け、電気自動車(EV)が普及し、ガソリン車の燃費もさらに向上すると見込まれる。
そうなると、ますますガソリン消費量が減って製油所が減り、炭酸・ドライアイスの供給不足に拍車がかかるというジレンマを抱えている。
INDEX
  • 欧州でビール入手危機
  • 炭酸はこうして作られる
  • 減り続ける発生源
  • ドライアイスは輸入でしのぐ
  • 炭酸工場の新設ラッシュ
  • 低炭素社会の死角

欧州でビール入手危機