【1分解説】アマゾン労働組合結成の「否決」で今後の展開は?
- Q. そもそもなぜアマゾンで労組?
- Q. アマゾンが必死に阻止?
- Q. 今後の展開は?
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米国では、団体交渉について、「交渉単位ごとにそこに所属する労働者の選択により、唯一の労働組合が当該交渉単位の労働者を代表して、使用者と交渉する」と定められています。同じ企業に労働組合が多数存在することがある一方、「交渉単位」ごとには1組合しか設立できません。今回の「交渉単位」では「否決」されましたが、他の「交渉単位」での労働組合結成の是非は、その単位毎で決めることになります。
今回話題になっている労働組合の「交渉単位」は、Amazonの「アラバマ州ベッセマーの物流施設」の従業員が対象です。ここで作ろうとしていた「労働交渉を委ねる」組合を希望する従業員の数が、「個別に交渉したい」従業員の数を下回ったことになります。
労働組合は、その組織単位内で、その組織構成員に対し差異のない待遇の改善を要望しますが、「アラバマ州ベッセマーの物流施設」内での待遇に関し、「成果主義」的な方向性の給与交渉を「個人単位」で行いたいということの表れか、作ろうとしていた労働組合がその職場で支持されていなかったと考えるのが自然だと思います(少なくとも公表されている情報の範囲では)。
米国の法規は、「労組を結成し、労組に加入し、労組を通じて団体交渉する権利を阻害すること」を不当労働行為として禁止しています。もしAmazonが意見表明以上の行為をしたことが確認されれば、違法行為として罰せられます。
日本の法規でも、「労働者が労働組合を結成しようとしたことを理由に解雇したり、その他不利益な取扱いをすること」は、不当労働行為として、労働組合法第7条で禁止されています。
今回の問題は、米国南部という非常に「雇用主の権利」が強い土地柄のところで起きました。
アラバマは自動車産業でアメリカ第4番目の都市ですが、ここにある独・ダイムラーの工場は世界で唯一組合がないというほど、「雇用主」が強い。
その南部で訴えが起きた点、また工場で働く人の85%が黒人の従業員で、昨今の「ブラック・ライブズ・マター」の文脈からも注目が集まりました。
それにしても、アマゾンの徹底攻勢はすごい。消費者として「翌日配達」はとてもありがたいですが、その裏でこういった従業員の実態があるのを見ると、とても複雑。
コロナ禍で「従業員手当」を最も手厚くした小売りは、家電のBestBuy。そして、ホームデポ、ターゲットが続きます。
(参考:https://www.brookings.edu/essay/windfall-profits-and-deadly-risks/)
アマゾンより少ない利益のところが、手当を厚くしているのを見ると、個人的にはアマゾンは手厚い支援をもっとして、その分を存分にアピールしたら良かったのではないかと感じてしまいます...
先日の記事にも書きましたが、倉庫従業員の待遇の低さの主張がITエンジニアとの比較であって市場相場ではないことが大きいと思います。また、アメリカ(日本でも)労働組合の比率が下がっている大きな理由の1つとして、組合が自己目的かして不透明になること(先日も日本で幼稚園なんとかという組織でありましたが)があるのでは。
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